嶌峰麻利子「幽霊分譲住宅」(1992年9月12日発行)

「宇川真貴子の一家は、分譲住宅を購入する。
 住宅は閑静な邸宅地にあり、家のすぐ隣には緑がいっぱいの公園があった。
 引っ越した初日、真貴子は階段に赤いリボンを首に巻いた黒猫を見る。
 二階の自分の部屋に逃げた猫を追うが、猫の姿はなく、廊下には血らしき液体がこぼれていた。
 大して気にもせず、一階に降りると、風呂場から血が流れ出て、廊下は血まみれであった。
 真貴子が風呂場を覗くと、血で溢れかえった浴槽から人間の手が這い出ると、のたうち回る。
 悲鳴を上げた真貴子のもとに家族が駆けつけるが、血も手首も消え、浴槽から湯が溢れているだけだった。
 真貴子は見間違いだと思い直すが、新しい学校に行くようになると、ある事実を知るようになる。
 分譲住宅の建てられたあたりには、以前、大きなお屋敷があり、そこに16歳の病弱な少女が住んでいたという。
 だが、去年、その屋敷で火事が起き、その焼け跡から少女のバラバラ死体が発見される。その事件は未解決のままであった。
 真貴子は、事件の重要参考人だった不動産屋の田端という男が怪しいと思うようになり、新聞部の宮内昇と、バラバラ殺人事件について調べ始める。
 そして、二人を導くように、あの黒猫が現れる。また、おぼろげな少女の姿も…。
 真貴子はゆっくりと真相に近づいていくが…。」

 丁寧に描かれており、良作と言って差し支えないと思います。
 怪奇度で勝負する作品ではありませんが、ラストのバラバラ死体が合体していくシーンは本作の目玉です。(ただ、バラバラ死体が服を着ているのが妙に引っかかる…。)
 コミックロマンミステリーからの再録です。

2015年2月13日 ページ作成・執筆
2019年3月11日 加筆訂正

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