宮本ひかる「呪われた少女」(200円)


「双子の姉妹、石川三枝と節子は、道端に落ちていた、片足の傷ついた藁人形がきっかけで、奇怪な事件に巻き込まれる。
 節子は藁人形を見たとたんに、友人の久美の姿が思い浮かぶ。
 そして、節子の言葉通り、友人の久美は自動車事故に遭い、藁人形と同じく、片足に大怪我をするのであった。
 病院からの帰り道、姉妹は、神社で、藁人形を使って悪戯をする、般若の面をつけた男の子を見つける。
 節子が男の子に石を投げつけると、般若の角に当たり、片方が折れてしまう。
 そこに男の子の姉、青木マキ子が現れる。
 マキ子は崖から落ちてから、片足が不自由になり、明るかった性格が一変、陰気な少女になっていた。
 マキ子は節子に、右手が神罰で使えなくなると告げて、去る。
 一週間後、節子は夜中に夢遊状態で起き出し、右手を包丁で切り付け、病院に運ばれる。
 マキ子の予言通りに、節子は右手が不自由になり、発狂。
 翌日、暗い気持ちの三枝のもとに、親しい親戚の伸治と洋子が訪ねてくる。
 三枝から話を聞いた伸治は、丑三つ参りではないかと疑い、神社を調べに行く。
 神社の御神木には藁人形が打ち付けてあり、それを調べようとしたところに、マキ子が現れる。
 マキ子はこの人形は願いを叶えてもらうために祀ったものと主張。
 伸治はいったんは引き下がるが、妹の洋子へ、マキ子に喧嘩を売って、怒らせるよう指示。
 そして、三枝には洋子の様子がおかしくなったら、すぐに知らせるよう頼むのであった。
 果たして、今までの奇怪な出来事は、呪いによるものなのであろうか…?」

 我々にはいまだになじみの深い丑の刻参り。
 やはり日本人の(裏の)心情に訴えかけるものがあるのでありましょう。
 丑の刻参りを扱った怪奇マンガは多々描かれておりますが、この作品は今から半世紀前、1960年代前半に描かれたものです。
 (それなりに)きっちり丑の刻参りが描写されており、好感が持てます。
 ただ、ネタバレですが、「数百年前の怨みのこもった般若の面」が全ての元凶ですので、この手のマンガにありがちな愛憎渦巻くドロドロ感は希薄です。
 あと、藁人形が歩き出す描写がちょっとポップかも。(マキ子の弟の悪戯ですが…。)

・備考
 ビニールカバー貼りつき、また、それによる歪みあり。pp63・64、コマにかかる小さな穴あり。全体的に目立つシミあり。湿気のためか、全体的に歪みあり。後ろの遊び紙、欠如。



2016年7月27日 ページ作成・執筆

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