池川伸治「夢の中の少女」(200円/1964年頃)


 収録作品

・池川伸治「夢の中の少女」(1964年4月2日完成)
「ある夜、真弓は、奇妙な夢を見る。
 夢の中で、見知らぬ少女が妹の秋子の死体を納屋へ引きずり込み、藁の中に隠していたのであった。
 翌日、真弓はその夢が気にかかって仕方がなかったが、学校からの帰り道、夢に出てきた少女を目にして、嫌な予感は強まる一方。
 真弓が帰宅すると、妹の秋子がその少女の家に遊びに行くと話す。
 正子という、その少女は秋子と同じクラスで、最近、引っ越してきたばかりとのこと。
 真弓は秋子を引き留めるが、秋子は真弓の夢のことなど一蹴、出かけてしまう。
 しかし、それを最後に、妹の秋子は行方不明。
 真弓が正子の家を訪ねても、正子の父親に秋子は来ていないと乱暴に追い返される。
 真弓は夢を手掛かりに、正子の家に忍び込むが、納屋の藁の中には秋子の死体はなかった。
 その夜、真弓はまた夢を見る。
 夢の中で、正子は妹の死体を納屋から運び出すと、海に遺棄したのであった。
 次の日、家に正子がいないことを確認した真弓は、正子の家を訪ね、夢が正夢であることを示す証拠を幾つも発見する。
 同じ日に、秋子の死体が海辺で発見され、真弓は警察に正子のことを話すものの、相手にしてもらえない。
 そこで、真弓は正子に宛てて、ことの真相を告げる手紙を書く…」
 予知夢から殺人事件を暴こうとする発想は面白いと思います。
 結末がちと急ぎ過ぎかつ強引なのが、惜しいです。

・宮本光「白い杖」
「とある町で、犬の目玉をくり抜くという動物虐待事件が起こる。
 皆は犯人を、偏屈で盲目の美鬼子と決めつけていた。
 美鬼子の母親は盲かつキチガイで、美鬼子が常に携えている白い杖には母親の呪いが込められていると信じられていた。
 ある夜、真弓は飼い犬が姿を消したことに気付き、探しに出かける。
 夜の公園で、知り合いの漫画家、尾張は彼女の犬が林の中にいたと教えてくれる。
 真弓が林に向かうと、そこには目玉をくり抜かれた飼い犬の死体があった。
 そして、その場から走り去る人影は、まさに美鬼子に間違いない。
 現場に落ちていた義眼を手に入れた真弓は、これで美鬼子を罠にかけようと考えるのだが…」
 作品内に、「きちがい」や「狂人」「めくら」という言葉が連発されて、ちょっとヤバい雰囲気です。
 ラストの笑顔が気持ち悪い…。

・備考
 状態悪し。ビニールカバー貼り付け、また、それによる本体やカバーの痛みあり。糸綴じあり。前表紙の裏と前の遊び紙に鉛筆で落書きあり。小切れ、シミ、小欠損、多数。p3、p47、鉛筆で落書きあり。p3、p7、p13、下部にセロハンテープでの補修あり。pp13・14の下隅に、横7センチ、縦3センチ程度のコマにかかる欠損。pp45・46、コマ内に小さな欠損。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。



2017年6月28日 ページ作成・執筆

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