松下哲也「幽界少女」(200円)


 収録作品

・松下哲也「幽界少女」(元は「純愛皿屋敷」というタイトルだったのかも。)
「難病に苦しむ理香は、睡眠薬で命を絶つ。
 理香の母親は、理香の遺言に従い、理香の恋人、進に絵皿を渡しに行く。
 その絵皿は、理香が死の直前に描き上げたもので、理香の精巧な姿が描かれてあった。
 進は戸惑いながらも、絵皿を受け取るが、どうも気味が悪い。
 その夜、理香が進のもとに現れる。
 理香は進の心変わりが原因で死を選んだと告げ、進の本心を問いただす。
 進は心変わりはなかったと断言すると、理香は進の家にずっといていいかと聞く。
 そして、立ち去り際に、進に皿を割らないよう頼むのだった…」

・宮本光「霧の中の少女」
「交通事故で重傷を負った少女、京子。
 彼女は病院で輸血を受ける。
 その病院を屋敷から眺めている少女、キミ子。
 心臓病を患うキミ子は財産を狙う兄姉に命を狙われていた。
 キミ子は自分に何かがあった時のために、半月前に献血をしていた。
 そして、キミ子の血は京子に使われる…」
 一昔前、血液銀行というものが社会問題になった頃のマンガであります。
「黄色い血」「プロ売血者」とか初めて目にしましたが、ちょっとカッコいい表現かも…。

 松下哲也先生、宮本光先生の短編が二編、収められておりますが、両方とも、面白いです!!
 長編となると、ページを稼ぐためにどうしても冗漫なところが出てしまいますが、短編は「発想」で結末まで突っ走ることになりますので、タイトな仕上がりです。
(ただし、原稿料は半分になってしまいますので、マンガ家さんとしてはあまり嬉しくなかったかも…。)
 ジャケットもいいですし、宏文堂の貸本マンガの中でも、かなりレベルの高い一冊だと思います。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。ビニールカバーに紙が引っ付いて、剥がれた痕あり。背表紙色褪せ。本文、ところどころ目立つシミあり。



平成27年7月20日 ページ作成・執筆

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