宮本ひかる「怪談少女」(200円)
「雨宿りをしている大木が落雷を受け、ショックで気絶した少女。
車で通りがかった川島五郎に少女は助けられるが、少女は記憶を喪失していた。
五郎の屋敷に少女は運ばれて、介抱を受けた少女は、五郎の妹、京子として暮らすこととなる。
しかし、その裏にはある陰謀が秘められていた。
京子は、屋敷の財産を狙う五郎によって滝つぼに突き落とされており、記憶喪失の少女は殺された京子にそっくりであった。
五郎は、その少女に全財産を譲らせた後、少女も始末しようと企む。
そんなこととはつゆ知らず、ある夜、ベッドに寝ころんだ少女は、ベッドに誰かがいることに気付く。
布団をはぐると、そこにはびしょ濡れの、自分とそっくりな少女が寝ていた。
少女の悲鳴を聞きつけ、五郎達が京子の部屋に駆け付けると、少女はぐっすり寝入っており、寝言ではないかと言う。
しかし、その夜以降、少女の様子がおかしくなり、五郎とその仲間の使用人達を翻弄する。
奇怪なことが続き、遂にある夜、五郎の前に、京子の幽霊が現れ、少女を連れ去ったと告げる。
そして、少女を返してほしければ、自分を殺した滝に迎えに来るように言って、姿を消す。
五郎達はその滝に急いで向かうのだが…」
「怪談少女」…というヘンなタイトルだけで有名ですが、内容はつまらないことはありません。
財産目当てで殺された少女の幽霊と、その身代わりにされた少女がタッグを組んで、復讐するという内容で、貸本らしい御都合主義は多々あるものの、まあまあ面白いと思います。
ただ、このマンガに出てくる京子、幽霊のわりに、むやみに元気なところが、幾分ひっかかるものがありました。
あれこれと策を巡らして、相手を追い詰めようとする計画性とポジティブさがある幽霊というのは斬新とは思いますが、個人的には、幽霊は陰々欝々して、光と影の狭間をおぼろげにウロウロしてほしいものであります。
(まあ、人間にもいろいろあるように、種々雑多な幽霊がいても、構わないのであります。そうでなければ、「ゴースト・ストーリー」というジャンルは衰退してしまいますしね。)
・備考
カバー貼り付け。ビニールカバーを剥がしたためか、カバーに若干の痛み。糸綴じの穴あり。小口のヤケとボールペンの跡あり。読み癖あり。切れや欠損あり。
2016年7月28日 ページ作成・執筆