池川伸治・宮本ひかる・松下哲也「月夜A」(200円)
収録作品
・池川伸治「鏡の中の顔」(原作・宮本ひかる/構成・池川伸治)
「霧深い山中の道。
美也子は、おじの家からの帰る途中、見知らぬ少女から声をかけられる。
由紀子と名乗る少女は、美也子が通りかかるのを待っていたと言う。
冗談と思い、美也子が由紀子に近づこうとすると、足元は崖で、由紀子は川に転落する。
美也子が河原で意識を取り戻した時、すでに夜中であった。
音楽の聴こえる方に向かうと、そこには荒れ果てた西洋館があり、崖で出会った由紀子が彼女を待っていた。
由紀子は先程のことを謝り、美也子に泊まっていくよう勧める。
しかし、食事の後、由紀子は、美也子はここにずっと住むことになると告げる。
美也子は家に帰ると主張するが、由紀子はそうすれば不幸になると答える。
翌朝早く、美也子は屋敷を逃げ出し、家へと急ぐのだが…」
・松下哲也「可愛い怪人」
「謎の奇病にかかっている少女、愛子。
彼女は正午になると、寝室に監禁されていた。
彼女は、姉のボーイフレンド、次郎に一目惚れし、ある日、彼の車のトランクに忍び込む。
彼の家で、愛子は、彼も彼女に想いを寄せていることを知る。
だが、愛子は年端のいかない少女であり、彼は自らの想いに苦悶していた。
彼の前に現れた愛子は自分は18歳であると告げ、大きくなったら、恋人同士になるよう約束を迫る。
彼女の患う奇病とは…?」
ネタばれですが、この奇病とは「一日おきに生きる(その間は消失)」というもので、映画「ブリガドーン」の影響でもあるのでしょうか?
もしくは、星新一のショートショート、もしくは、海外SFの短編にインスパイアされたのかもしれません。(確認とれてませんが…。)
甘ったるいロマンス風の内容に、松下哲也先生の初期の美少女キャラの初々しさがマッチして、好きな作品です。(三田京子先生の美少女キャラではこうはいきません。)
・宮本ひかる「黒い蝶」
「翌日に都内見学を控えた少女、国井昌子。
夜、彼女は奇妙な夢を見る。
夢の中で、彼女は交通事故にあいそうになったところを、九州にいるいとこのセツコ(作中ではセッちゃん)に助けられる。
昌子の身代わりとなったセツコは、今わの際に、黒い蝶を大切にするよう言い残す。
夢から目覚めると、寝室に、片方の羽が破れた、黒い蝶がいた。
蝶は彼女に、セツコが交通事故で危篤状態にあると話しかけるが、昌子の姉はそのことを信じてくれない。
姉を怒らせてしまったため、昌子が一人で都内見学に行こうとすると、蝶は一緒に連れて行ってくれるよう彼女に頼む…」
作者曰く、「ある人が実際に体験したこと」をまとめたとのこと。
事実かどうかはともかく、この単行本では一番完成度は高いと思います。(出来過ぎなストーリーではありますが…。)
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け。糸綴じあり。読み癖あり。全体的に目立つシミや汚れ、多し。p4、セリフに赤ボールペンで線を引かれている。pp111・112、ページ中段にコマにかからない小欠損。後ろの遊び紙に鉛筆による記入と貸出票の剥がし痕あり。
2018年8月16日 ページ作成・執筆