池川伸治・宮本ひかる・松下哲也「月夜B」(200円)
収録作品
・池川伸治「鍵」
「転入生の竹内洋子。
転入初日から、彼女は机の中のあるものを見て、気絶する。
包帯で顔をグルグル巻きにした彼女は、クラスメート二人に連れられて、帰宅する。
家には、母親からの手紙と鍵が一個あった。
手紙には、松川村の吉川の家に行くよう書かれていた。
その家に向かい、鍵で中に入ると、彼女は監禁されてしまう。
そこには、彼女のクラスを担任する教師が彼女を待っていた…」
問題作です。より正確に形容すると、「問題のあり過ぎる作品」です。
ネタばれしますが、「魚アレルギーの少女に、頭から魚をぶっかけまくって、魚アレルギーを克服させる」という、メチャクチャな内容。
でも、実際問題、こんなことしたら、アレルギーの症状によっては、アナフィラキシーショックを起こして、命にかかわります!!
池川伸治先生はラストに「毒をもって毒を制す」とか「病は気から」とか書いて、いつもの根性論とすり替えておりますが、そういう問題ではないと思うぞ!!
ちなみに、魚アレルギーを描いた作品に、好美のぼる先生の名作「呪いのウロコ少女」(立風書房)があります。
「呪いのウロコ少女」では、ヒロインは、バッドトリップな幻覚の末、ウロコ少女に変貌してしまいます。
スリラーだったら、こちらの方が自然な展開のような気が…。
・宮本光「青い墓」(1964年5月15日完成)
「嵐の夜、大石ユミは、帰宅途中、崖崩れに襲われる。
その際、墓石の一部が豪快にユミの頭を直撃し、ユミは気絶。
その墓石は、一年前に肺炎で急死した姉、澄子のものであった。
幸い軽傷だったユミは、帰宅するが、明らかに人柄が一変。
彼女は姉は殺されたと言い、犯人を捜すために、姉の日記帳を調べ始める。
ユミの様子に慌てたのが、彼女の母親で、彼女は共犯者である、医者の伯父を電話で呼び出す。
ユミを亡き者にしようとする二人に、姉の霊は復讐を図る…」
・松下哲也「赤い死の町」
「ある日、愛子は、若い絵描きの青年と出会う。
彼は、町の景色を描いていたが、絵の中の町は陥没して、無惨な姿になっていた。
彼は町の未来を霊視しており、彼は町の人々に大規模な陥没が起こると触れて回る。
しかし、誰も信じてくれず、ある夜、青年はチンピラ三人に崖から突き落とされて、殺害される。
以来、愛子の目も、青年と同じように、町が地盤沈下を起こした光景が映るようになる…」
・備考
ビニールカバー貼り付け。pp10・11、pp14・15、食べかすが挟まって、剥がれあり。前後の見開き、ノドに補強。前の遊び紙、ボールペンで漢字の落書き。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2018年8月16日 ページ作成・執筆