吉倉健「怪奇怨霊の爪跡」(190円)



「寛永年間末期、高崎の宿はずれ。
 長年の旅を続け、妻木源三郎と小野十郎太は疲労の極に達していた。
 二人の旅の目的は、殿の命により、早野三十郎を討つことであった。
 三十郎は、殿に甘言を弄し、権勢を誇った池沢を斬殺し、藩を出奔。
 源三郎達は五年に渡り、三十郎を探し続けたが、探索は困難を極めた。
 秋も終わりに近い頃、源三郎達は、早野三十郎に似た木こりを見かける。
 一刻も早く国に帰るため、源三郎は木こりを殺害し、その首をはねる。
 また、その場にい合わせた、木こりの子供も口封じのために殺し、更には、良心の呵責に苦しむ十郎太の命も奪う。
 そうして、藩に帰った源三郎は、殿より百石の加増となり、出世の糸口をつかむ。
 だが、木こりと争った際に受けた傷が悪化し、源三郎は破傷風に責め苛まされる。
 その傷は、木こりの顔のようであり、他の傷も殺した相手の顔に見えるようになる。
 源三郎は、怨霊と戦おうとするのだが…。
 そして、木こりの子供と同じ容姿と顔を持つ若侍の正体とは…?」

 「人面疽」と「殺した相手が身に付けていた鈴の音に悩まされる話」を盛り込んだ作品です。
 おなじみのテーマですので、ストーリーは予定調和の中ですが、そこそこ読ませます。
 ただ、「鈴の音」に関しては、ストーリーを若干ややこしくしている感があり、ない方がよかったかもしれません。

・備考
 他の貸本のビニールカバーにひっついて、カバーに剥げや痛み。袖等にセロファン紙の貼り付けあり。小口の底にゾッキ線あり。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。

2018年11月26日 ページ作成・執筆

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