いばら美喜・他「別冊・怪奇B」(150円)



・いばら美喜「顔半分」
「雨宿りのため、道外れの洋館に立ち寄った青年。
 洋館には誰も住んでおらず、ただ、女性の立身像だけが置かれていた。
 立ち去る際、青年は、彫刻の頭部に黄金の輪がはまっているのに気づく。
 輪を外すと、彫刻の顔の半分は割れており、床に落ちる。
 だが、外に出た時、暴漢に襲われ、青年は単車と金の輪の入ったダスターコートを奪われてしまう。
 仕方なく、徒歩で家に向かっていると、先程の彫刻像の女性が現れ、金の輪を返すよう迫る。
 青年は金の輪は盗まれたと言うが、彫刻像の女は納得せず、彼の母親を顔半分にしてしまう。
 そこで、彼は金の輪と同じものを作り、彫刻の頭部にはめる。
 しかし、同じものでないとダメで、今度は妹が顔半分にされる。
 次は自分の番と知り、青年は、暴漢が向かったらしい岡田組を訪ねるのだが…」
 大傑作です!!
 ともあれ、顔が半分に割れるシーンが素晴らし過ぎます。
 この作品のアイデアは、紅達矢シリーズの一冊いばら美喜「悪霊の街」(貸本/東京トップ社)にも使われております。

・旭丘光志「怪奇伝説集 No.2 不忍の池から蛇女が…」(文章)
「明治時代。子供の頃、不忍池で蛇を殺した祟りで、娘が池に引きずり込まれてしまった母親の話」

・黒田和夫「古荘の怪」
「刑事の熊和也は、幼なじみの有宮真子から手紙をもらい、蔵王に向かう。
 彼女の兄は、地滑りで埋まった墓場を爺やと見に行った際に、遭難。
 兄の妻も、彼の死を嘆き、後を追うように、ドッコ沼に身を投げる。
 以来、彼女の前に、幽霊が現れるようになり、ノイローゼ寸前であった。
 だが、この事件にはおかしな点が幾つもある。
 兄やその妻の死体が見つからなかったこと。
 真子を殺害するために忍ばせたマムシ。
 屋敷の地下に広がる隠し通路。
 そして、探偵を名乗る男…。
 幽霊の正体とは…?」

・旭丘光志「怪奇伝説集 No.2 彼は人を食べたか?」(文章)
「北海道。二人の男が雪山で遭難し、一か月後、片方の男が山を降りて来るが…という話」

・堀万太郎「世にも奇怪な物語」
「雇い主である、高利貸しの老婆を殺害後、金を奪った関口。
 全ての罪を相棒の馬場に着せ、更には、馬場も絞殺、その死体を隠滅する。
 欲深い関口は、老婆の遺産の一億円を手に入れるために、彼女の唯一の肉親である、孫の岡田正彦の命を狙う。
 正彦は祖母とは縁を切っており、高校中退後、身一つで働いていた。
 関口は彼を崖までうまくおびき出し、銃で脅して、転落させようとするのだが…」

・備考
 状態猛烈に悪し。カバー欠。糸綴じの穴あり。pp29・30(いばら作品)、pp89・90・127・128(黒田作品)、大きな欠損あり。他にも、欠損、裂け、汚れ、シミ、本当にひどい。ボロボロ。巻頭ページと巻末あたりに貸本店のスタンプあり。後ろの遊び紙に赤鉛筆での数字の書き込みあり。

2018年6月3日 ページ作成・執筆

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