堀万太郎「怪談牡丹地獄」(150円)
「巡礼姿の少女、おつゆ。
彼女は、父と姉を捜すため、犬の喜十と共に、江戸にやって来る。
父は喜左エ門で三歳の時に別れたきりで、姉のたまえ(19歳)は牡丹屋敷に奉公に出ていた。
そして、母親は、先日の祭の日に、川に落ちて、溺死していた。
その頃、江戸では、牡丹提灯を持った女の幽霊の噂が立つ。
更に、八千石の旗本、杉山大学の家来、早月左大夫の殺人事件が起きる。
早月左大夫は喉を獣か何かに食い破られていたが、死体から財布を盗んだ、いたち小僧に嫌疑がかかる。
いたち小僧は、現場で目にした、牡丹提灯の女が怪しいと主張し、無実を立証するために、脱獄する。
一方、与力の牧佐太郎は、杉山大学について、内密に調査していた。
牧佐太郎の指示により、部下の長次は、牡丹提灯の女の噂について聞き込みを進めると、噂の出所が明らかとなる。
それは、魚屋の伊助で、彼は、牡丹屋敷の女中、おしのと許嫁の仲であった。
長次は、上方に旅に出た伊助を追い、おしのの親元へと出向くのだが…。
同じ頃、杉山大学の子分が、おつゆの行方を追っていた。
牧左大夫は、おつゆが寝泊まりしていた地蔵堂の床下から、女の死体を発見するのだが…。
牡丹提灯の女の正体とは…?
そして、杉山大学が、おつゆを殺そうとする理由とは…?」
堀万太郎先生について、あまり詳しくはありませんが、達者な絵柄で、読ませます。
この作品も、幽霊が出てくるシーンは雰囲気満点で、実に味わい深いです。
ただ、ラスト、早月左大夫殺しの犯人が明らかとなるのですが、絶対にありえない人物で、そこが残念です。
・備考
カバー、ビニールカバーの剥がし痕ひどし、また、痛みあり。糸綴じの穴あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2021年1月3日 ページ作成・執筆