高野よしてる・他「夢見る少年」(190円)
・高野よしてる「夢見る少年 第1話」
「夢夫は食いしん坊な中学生。
ある日、いかにしてお菓子を盗み食いするか考えていると、彼の体がどんどん小さくなっていく。
それを幸い、お菓子を食べようとするも、体はますます縮み、米粒のようになってしまう。
そこに母親と妹の夢子が来て、夢子は彼が乗ったままのケーキを食べてしまう。
夢夫は食後のお茶で夢子の喉奥に流されるが、そこは近代的な工場のような場所であった。
うろうろしていると、人らしきものがたくさんいる。
だが、それは風邪やジフテリア、結核菌といったバイ菌たちで、彼らは栄養列車を転覆させ、栄養を略奪しようとしていた。
ただ一人、結核菌のボスの娘は父親にこういう悪事を辞めるよう主張し、一人でレールをもとに戻そうとする。
夢夫は彼女に協力し、栄養列車は無事通過するも、夢夫はビタミン警察に捕まってしまう。
彼は死刑を宣告され、その方法は酵素のトケロールで溶かされるというものであった。
絶体絶命の時、ビタミン警察を結核菌の群れが強襲。
処刑室も破壊され、夢夫も九死に一生を得る。
しかし、その頃、夢子は結核に侵され、生死の境をさまよっていた…」
・井上英沖「狂った惑星」
「ある惑星にロケットが不時着する。
原因はこのロケットに死刑囚が潜入し、乗組員と争った際に操縦席を破壊してしまったからであった。
この星には「あやしげな怪物」が棲み、乗員は次々と殺されて、生き残ったのは七人のみ。
艇長と部下の青年はロケットの修理を急ぎ、どうにか修理を終えるのだが…」
・高野よしてる「夢見る少年 第2話」
「夢夫は蔵の中で不思議な眼鏡を見つける。
掛けてみると、目の前に吉良上野介が現れる。
吉良上野介は夢夫の先祖で、夢夫が先祖はそんな悪い人だったのかと落胆すると、吉良上野介は「ばかもん!!」と一喝。
吉良上野介は夢夫を長持ちの中の階段の下に連れて行くが、そこは元禄時代の江戸城の松の廊下であった。
夢夫は吉良上野介の茶坊主としてご先祖様が実際にはどういう人だったのか、そして、その死の真相を目撃する。
忠臣蔵の裏に隠された、吉良上野介の本当の素顔とは…?」
・高野よしてる「ショート・ショート 恐怖のスタジオ」
「あるテレビ局のスタジオで俳優の中村が毒殺される。
容疑者は木村課長、俳優の小山、照明係の大山、花田事務員の四人。
四人とも中村を殺す計画を立てていたのだが…」
高野よしてる先生の「夢見る少年」はビザール感溢れる傑作です。
第一部は「ミクロの決死圏」よりも早い、体内を舞台にしたファンタジーSFで、奇抜なマシンやロボットに驚かされます。(「縮みゆく人間」や「やぶにらみの暴君」の影響あり?)
派手なアクション・シーンも(戦争体験があるせいか)妙にリアルで、高野よしてる先生のポテンシャルの高さがひしひしと伝わってきます。
打って変わって、第二部は時間旅行の入った歴史ものですが、「忠臣蔵」では一方的に悪役である吉良上野介を心優しく思慮深い人物として描き、普通に感動しました。
これってもとになった話はあるんでしょうか?
「ショート・ショート 恐怖のスタジオ」はスタジオで起こった殺人事件の犯人を捜す内容ですが、謎解きの要素が薄く、あまり感心しませんでした。
でも、隙を見てどうにか毒を飲ませようとするところがバタバタしていて楽しかったです。
ちなみに、併録の井上英沖「狂った惑星」はタイトルは大袈裟ですが、そこまで大したもんでもないです。
でも、当時のSFマンガの中では普通の出来ではないでしょうか?
ともあれ、忘れられた天才、高野よしてる先生の魅力がたくさん詰まった単行本です。
復刻が真に望まれます。
・備考
ビニールカバー剥がし痕。糸綴じの穴あり。後ろの見開きに貸出票の剥がし痕あり。