久呂田まさみ「膚塚」(190円)



「人形師の源介は、妻、お菊の裏切りにより、無実の罪を着せられる。
 お菊は、城主の大膳と結婚するために、源介と息子の竜介を厄介払いしたのであった。
 妻と大膳への復讐のみを胸に、源介は、竜介と共に、国境で苦役に服す。
 ある日、戦乱に乗じて、牢屋から逃げ出すものの、一揆を起こした百姓狩りに巻き込まれる。
 捕らえられた源介親子は、他の百姓もろとも、家ごと焼かれてしまう。
 死体の山に埋もれ、二人は命だけは助かるが、源介はひどい火傷のために醜悪な相貌となり、竜介は狂っていた。
 以後十数年、源介と竜介の親子は、戦場で死体を拾っては、生きた人間と見まがうほどの「生肌人形」をつくることに励む。
 その目的は、今や二人の娘を持つ、お菊に、娘の「生肌人形」を見せて苦しめるためであった。
 ある日、奇妙な技を持つ源介と、怪力の竜介は、大膳達の一行を襲い、雪姫をさらう。
 大膳は、侍の一隊を組織して、姫の救出に向かわせるが、年若い夏木新之助以外は全滅。
 その夜、お菊に竜介から手紙を届けられる。
 手紙の指示にある通り、お菊はもう一人の娘、桜姫とある森に向かうが、そこにいたのは「生肌人形」となった雪姫であった。
 罠と悟った時にはすでに遅く、物影から現れた竜介に桜姫はさらわれてしまう。
 城で、お菊が過去を悔やんでいると、彼女の前に竜介が現れる。
 頭がおかしくても、実の母親が恋しいのであった。
 竜介は逃げ出すが、夏木新之助の放った矢により傷を負う。
 竜介の血の跡を辿り、新之助は源介達の隠れ家を発見。
 その頃、源介達は桜姫を「生肌人形」にしようとしていた…」

 正直、褒められたマンガではありません。
 絵も構成もストーリーもかなりヒドいです。
 でも、この「荒みきった」雰囲気には心惹かれてしまいます。
 第一、「復讐のため、若い娘を人形に作り変えることに執心する異形の親子」という設定からしてイカレテおります。
 更に、サディスティックな描写の数々は、拙さ故に直接的で生々しく、なかなかお目にかかれるものではありません。(下の画像を参照のこと)

 個人的には、実に「貸本怪奇マンガ」らしい…と言うか、「貸本怪奇マンガ」にしかない作品のように思います。
 でも、作品として見た場合、価値はほとんどないので、あしからず。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕ひどし。前の遊び紙、上部にボールペンで貸本店名の記入あり。pp13・15・25、セロテープによる補修跡あり。後ろの遊び紙、貸本店名のスタンプ、鉛筆によるグルグルの落書きあり。pp41・42、順序が逆の模様。

2017年7月6日 ページ作成・執筆

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