木内千鶴子「幻の蝶をみる少女」(170円)
「松原英司・葉子の兄妹は両親の莫大な遺産があった。
英司は五か月前に、貧しい家の娘、七七絵を妻に迎え、三人で慎ましく暮らす。
しかし、三人で昆虫採集に出かけた際、英司は谷に転落して、死亡。
葉子はまだ小さいため、叔母の中山みつ子は、松原家に入って、葉子の後見人になることを提案する。
そして、七七絵には松原家を出て、別の人と結婚するよう勧める。
だが、七七絵の実家は仕送りに頼っており、七七絵としては、家を出るわけにはいかない。
そこで、七七絵は、葉子に叔母は財産目当てと吹き込んで、一緒に暮らせるように仕向ける。
とは言うものの、財産は叔母夫婦が管理することになり、七七絵の自由にはできない。
ある時、七七絵は葉子に母親の死について話す。
父親が戦死した数年後、母親は、蝶の幻を視るようになり、それがもとで事故死してしまったのだという。
そして、英司も蝶が原因で亡くなっていた。
この話を聞いて以来、葉子は蝶にひどく怯えるようになる。
彼女は蝶に呪われていると信じ、徐々にノイローゼとなっていくのだが…」
ミステリー・サスペンスです。
当時の他の作品と同じく、今となっては他愛のない内容ですが、絵が非常に味わい深く、私はかなり好きです。
・備考
カバー貼り付け。糸綴じあり。pp65・66に落書き(人物にメガネ)。pp142・143(最終ページ)のノドに紙で補強。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2021年7月16日 ページ作成・執筆