どやたかし「青い血の伝説」(220円/1967年頃)
収録作品
・「青い血の伝説」
「どやたかし(主人公は作者本人)は、義兄の自殺の報を受け、奥日光へ向かう。
義兄、小島砂丘は映画監督で、奥多摩に伝わる「青い血の伝説」に興味を持ち、ロケハンターに出かけたのであった。
「青い血の伝説」とは、青い血をした姫が殿に斬られ、切込湖にとび込んだというもので、その湖には女の祟りがあると言われていた。
たかしは、義兄が泊まっていたオロクラ山荘を訪ねる。
山荘には、由紀という美しい娘が主人を務めていた。
義兄は密室でヴェロナール(睡眠薬)を飲んで自殺したという話だが、たかしは一つ、不可解な点を見つける。
それは、遺書に残された、奇妙なインク痕で、由紀の服にも同じインクの汚れがあった。
たかしは、由紀が義兄の死に関わっているのではないかと考える。
また、彼は、見知らぬ男に襲われるようになり、その男の目的は遺書らしい。
義兄の死の真相とは…?」
・「アリバイ100%」
「あるアパートで高橋晋という男がガス中毒死する。
彼は睡眠薬を飲んだ後、ガスのホースでガスを出しっ放しにしていた。
自殺が疑われるも、翌日のコンサート切符が見つかり、千持警部は他殺を疑う。
高橋は半年前から北海道から出てきて、友達は、釣りの趣味を同じくする吉永だけであった。
吉永は、電気屋を開業する際に、高橋から多額の借金をして、いまだに返済していない。
だが、彼には、事件が起きた時、富士精進湖(しょうじこ)で釣りをしていたという鉄壁のアリバイがあった。
千持警部は、高橋の冷蔵庫が氷を用いるタイプだったことから、吉永のトリックを見破るのだが…」
「青い血の伝説」は、カルトSF「ブルークリスマス」に先駆けている内容…のようですが、「青い血」は伝説の中で語られるだけで、本編の内容には関係ありません。
そのかわり、昔の漫画でおなじみ(?)の「○○○○病」が出てきます。(ただ、充分に理解はされておりません。)
ちなみに、「青い血の伝説」は「昨年の夏ぼくが実際にあった事件をもとにして描いたもの」(p91・あとがき)とのことです。
あと、作品には、海外の詩人や訳詩集(堀口大學「海軟風」等)が出てきて、どやたかし先生の文学青年な一面を窺い知ることができます。
・備考
ビニールカバー剥がし痕ひどし。カバー貼り付け&痛み、背表紙の上下に欠損。前の遊び紙に貸本屋のスタンプ押印。
2021年8月3日 ページ作成・執筆