久呂田マサミ・他「魔剣地獄」(140円)



 収録作品
・久呂田マサミ「無情霊剣」
「吉川という若い侍が、父親に会いに金鉱山に行く途中、嵐による倒木の下敷きになる。
 気が付くと、彼は山中の家で手当てを受けていた。
 その家には、若い娘と下男の六郎しかいなかったが、娘の母親もいるらしい。
 また、家には、山田と上杉という侍が一夜の宿を求めて、泊まっていた。
 この二人は、金鉱山にて黄金を横領し、これを知った同僚の、吉川の父親を斬殺。
 黄金を埋めて隠した後、逃亡している最中だったのである。
 この家では様々な怪異が起こるのだが、その理由とは…?
 そして、吉川、山田、上杉の運命は…?」

・伊藤友久「天下を取る」
「月見は、幕府と薩長軍との争いに乗じて、天下を取ろうと目論む。
 その機会を窺う間、仲間が、やもりに襲われて、次々と殺される。
 それは、月見に逆らい、殺されたはずの相馬という忍者の仕業であった…」

・竹田慎平「老武士の誤算」
「家老、平賀玄馬の息子、一馬は、文武とも優れた才能を持ちつつも、自身が捨子と知ってから、傍若無人な振る舞いをするようになり、藩内でも評判が悪い。
 病身の父に代わり、年度初の登城で早速、書道の師範の緒方に恥をかかせ、かつ、言いがかりをつけて、殿の前で彼に刀傷を与える。
 玄馬はこの責任を取って切腹し、一馬は、緒方の除名もあって、緒方家に謹慎の身となる。
 しかし、緒方の息子の左源太は収まらず、一馬を襲うが、逆に傷を負わせられる。
 遂に追われる身になった一馬だが、緒方は影で援助し、高尾山に匿う。
 緒方が一馬を助ける理由とは…?」

 怪奇風の時代劇が三作、収録されております。
 久呂田マサミ先生「無情霊剣」は、映画的手法を取り入れたのでしょうか、カットバックが多用され、最初、読んだ時には乱丁としか思えませんでした。
 伊藤友久先生「天下を取る」は、やもりを殺人に使うというアイデアは面白いのですが、ストーリーは大したことないです。
 竹田慎平先生「老武士の誤算」は、この中で一番出来がいいでしょう。
 若干、古風な絵柄ですが、きっちりとした画力はあり、ストーリーも、ラストが急展開ですが、悪くありません。
 あと、強調したいセリフは、吹き出しの中でなく、手書きの太文字というところもいいなあ。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー痛み、かつ、背表紙色褪せ。一部、綴じ外れ。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けと鉛筆での書き込みあり。

2020年10月13日 ページ作成・執筆

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