山下梢風「猫姫様」(170円/1962年4月30日発行)



「黄昏の幽霊峠。
 侍の筧(かけい)只四郎は、千絵という娘が盗人に襲われている場面に出くわす。
 盗人は撃退したものの、千絵は掘り出した小箱を奪われてしまう。
 娘はいつの間にか姿を消すが、後日、彼は見世物小屋で彼女とそっくりな娘と出会う。
 彼女は千春という名で、その小屋の看板娘であった。
 しかし、見世物小屋の主人に追い返され、他人の空似かと思っていたところ、幽霊峠で出会った盗人、源太と再会する。
 只四郎は彼を追手からかくまい、千絵から奪った小箱に入っていた紙切れを一両で買う。
 紙には「戸崎の鴉松」とだけ書かれていた。
 彼はその紙を手に、千春に会いに行くと、やはり、彼女は千絵本人であった。
 只四郎は紙の内容を千絵に問うが、彼女は何も聞かないでくれと繰り返すばかり。
 彼は彼女に想いを打ち明け、自分を信じるよう乞うものの、またもや、彼女は忽然と姿を消す。
 その頃、千絵の小箱に、由比正雪の隠し金の在処が秘められていることが、見世物小屋の主人や浪人の黒川に知られてしまう。
 只四郎は源太と共に、失踪した千絵を追いながら、宝の在処を明らかにしていくのだが…。
 彼らの前にたびたび現れる猫の正体とは…?」

 山下梢風(読み方不明)はなかなかカッコいい名前ですが、山下よしお先生の別名義で間違いないでしょう。
 この作品は、水木しげる先生の作品(注1)の影響がかなり大きいように思います(が、ちゃんと確認をとっておりません)。
 ヒロインの描写は力が入っており、それなりに可憐であります。
 ただし、ヒロインの正体である猫があまりにへっぽこで、この落差が「味」です!(注2)


・注1
 「呪いの谷」とか…でも、未読です。
 もしも、詳しいことをお知りの方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけますと幸いです。

・注2
 でも、望月みさお先生の「人間猫」よりはましかな。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり(袖にカバー残り)。糸綴じあり。所々、目立つシミや汚れあり。pp36・37、ページ同士がくっついての破れあり。p107、コマの一部、破れあり。後ろの遊び紙に貸出票貼り付け。

貸本・その他の出版社・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る