いなば哲「黒い雪女」(170円)
・「黒い雪女」
「島本家の裏庭に作られた雪だるま。
それに、雪女が身を隠していた。
雪女は、雪の降る真夜中、庭で舞い踊る。
その姿を、島本家の息子、栄次郎に見とがめられ、捕まりそうになるも、雪と同化し、逃げ延びる。
だが、次の夜、栄次郎は雪女の薄衣を取り上げ、他人の家の庭にいる理由を問い質す。
理由は言えぬの一点張りの雪女に、栄次郎は明朝門前で薄衣を返すと約束し、家の中に引っ込む。
翌朝、約束通り、栄次郎は雪女に薄衣を返すが、その際、酔っ払いの侍三人組に絡まれてしまう。
侍達は雪女に手を出そうとして、止めに入った栄次郎は斬殺されてしまう。
栄次郎殺害の片棒を担いだとの濡れ衣を晴らすため、その夜、雪女は、三人のいる屋敷を訪れる。
そして、一人また一人、恨みを晴らしていくのだった…」
・「弘兵衛変死」
「町人の辰吉は、病気で倒れた侍を見かけ、茶屋で介抱する。
そこに、病気の侍の知り合いらしき侍が現れる。
その侍、白地弘兵衛は、病気の侍、今川渉之助の父親の仇であった。
弘兵衛は、渉之助を往来に引きずり出し、返り討ちにしようとするが、辰吉は必死になって止める。
そこで、弘兵衛と渉之助は、明日、卯の刻(午前六時)、鬼人が原で果たし合いをすることとなり、弘兵衛は、もしも、渉之助が時間までに来なかったら、辰吉の命を奪うと告げる。
しかし、渉之助の病状は非常に悪く、とても決闘できるような身体ではない。
にも関わらず、渉之助は弘兵衛を討ち果たす約束をする。
早朝の鬼人が原で、辰吉は物陰に潜み、様子を窺う。
卯の刻の鐘が鳴った時、渉之助が姿を現すのだが…」
・備考
ビニールカバー貼り付け。背表紙上部破れ。糸綴じあり。後ろの遊び紙に鉛筆での書き込みあり。
2020年3月17日 ページ作成・執筆