山森博之「鉄人別冊@ 宇宙人スパイ」(220円)

・「宇宙人スパイ」
「南極。宇宙観測所の日本基地。
そこから北北西へ二キロの地点に宇宙からの円盤が墜落する。
無人偵察機で観察すると、円盤は氷の中に潜り込み、氷詰めになっていた。
能野博士の提案で、とりあえず様子を見るが、二週間の間、毎日吹雪続きで、円盤には何の変化も見られない。
様々な意見が出るものの、所員たちは円盤調査に出かけることとなる。
そこへアメリカ基地の所員が現れ、日本の所員にあることを伝える。
日本基地の何者かが円盤と電波で交信しているらしい。
その後、所員たちは円盤を氷から取り出し、観測所へと運ぶ。
作業の間、観測所には能野博士の息子、次郎と、博士に同行してきた男(名前わからず)の二人が残っていたが、次郎の姿が忽然と消える。
おかしなことはこれだけにとどまらず、三日後、円盤の近くで人影が目撃される。
目撃者の話によると、それは次郎のようであったが、この吹雪では確認ができない。
その話を聞き、次郎と二人きりで観測所に残っていた男の顔色が変わる。
パイロットの真二はこの男がひそかに円盤と連絡を取っていることを突き止め、彼のふりをして円盤に接近するのだが、そこで目にしたものとは…?
そして、円盤の搭乗員の正体とは…?」
・「SFショートショート 人体実験成功」
星新一のショートショート(「ボッコちゃん」収録の、宇宙旅行のために人間を動物と思い込ませる話。タイトル失念)が元ネタですが、オチを少し捻っていて、原作よりもこちらの方がうまいと思いました。
「日本ではじめての空想科学劇画誌」らしい「鉄人」の別冊として出された単行本です。
隔絶された南極基地、謎の円盤、行方不明事件…と面白そうな道具立てではありますが、出来はぶっちゃけ、へっぽこです。
ストーリーはボロだらけで、本格的なSFファンの方が読んだら、心底あきれそうな出来です。(心の広いSFファンの方なら大昔のパルプ・マガジンっぽいと言って喜ぶかも…?)
ただし、この作品には特筆すべき点があります。
それは「ゾンビ」が出てくること。
と言っても、ロメロ・ゾンビではなく、アメーバ状の宇宙人が死体にとり憑いて動かすタイプです。
恐らくですけど、このマンガ、「吸血鬼ゴケミドロ」より早いよ!!(と言っても、ゴケミドロは生きた人間にとり憑くのですが…。)(注1)
そして、宇宙人のとり憑いた死体と人間のバトルになる…のかと思いきや、何故か、宇宙人は恐竜にとり憑いて、後はもうスッチャカメッチャカになります。
「遊星からの物体X」のようなシリアスなノリを期待していたため、最初読んだ時はズッコケました。
でも、考えてみれば、斯様に強烈なゲテモノSFホラーはありそうでなかなかない(あっても入手困難で読めない)ので、読んだら喜ぶ人が意外と多いかもしれません。
まあ、私はお勧めしませんが…。
・注1
もしかしたら、海外SFの影響があるのかもしれません。
ハインライン「人形つかい」とか…でも、ありゃ、ナメクジだな…。
私のSFに対する知識は貧弱ですので、心当たりのある方はご教示頂けると幸いです。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。前後の遊び紙に鉛筆で書き込みあり。糸綴じあり。
2024年9月23・26日 ページ作成・執筆