久呂田まさみ「怪談妖顔童子」(200円)



「戦国時代。
 ある戦が終わり、殿が勝ち戦を祝っていると、妻の雪の方が男児を産んだという知らせが入る。
 だが、この男児は恐ろしく奇怪な容貌であった。
 殿は息子を化物扱いして殺そうとするが、雪の方は自分の命を賭けてこの子を育てる決意をし、家来の主膳も彼女の味方をする。
 雪の方の願いは通じ、この息子は竹丸と名付けられ、母親から愛情を注がれ、すくすくと育つ。
 しかし、竹丸は奇怪な容貌だけでなく、唖であった。
 竹丸が七歳の時、雪の方が急死する。
 葬式の後、竹丸は父親の後をつけるが、そこで「自分の子とは思わん」等、ひどい言葉を投げかけられる。
 この出来事をきっかけに竹丸の心に暗い陰が差すようになる。
 しかも、城内では家老の玄鬼の働きかけにより、菊の方の息子、虎丸が世継ぎに選ばれていた。
 だが、菊の方は百姓出身、かつ、その息子の虎丸は薄らバカで、これまた、竹丸と大して変わりはない。
 主膳一派と玄鬼一派は対立を深め、とうとう、主膳一派は謀叛に打って出るのだが…」

 「怪談」と銘打ってはいますが、ぶっちゃけ、単にヘンな話です。
 殿様に奇怪な顔の子供が産まれて、城内でいろいろと揉めるだけの内容でして、奇怪な顔の子供が産まれるのに祟りとか呪いとか理由があるのかと思いきや、そんな説明は全くありません。
 でも、急転直下なラストはなかなかのインパクト。
 多くの方は読むことがないでしょうから、ネタバレいたしますと、「竹丸は城主になるものの、『やっぱり、こいつはダメだ』と考えた主膳に馬を暴走させられ、崖から転落、その際に岩に顔をぶつけてグチャ」という何とも形容しがたいラストです。
 んで、皆で薄らバカの虎丸に仕えよう…って、あ〜た…。
 世知辛いですね。

・備考
 カバー欠。pp2・3、綴じ外れ。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と数字のスタンプ。

2024年4月12・13日 ページ作成・執筆

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