黒田みのる「猿の惑星」(芸文社漫画天国増刊/1971年6月7日号)

 SF映画の名作「猿の惑星」(1968年)のコミカライズです。(注1)
 映画とちゃんと見比べたわけではありませんが、若干の脚色はあるものの、基本、映画に忠実に描かれている模様です。
 コミカライズとしては、かなりの力作なのではないでしょうか。
 ただし、表紙に「怪奇SF長編衝撃作!!」「恐怖映画の名作より初の完全劇画化」と書かれてあるように、ところどころ、バッド・テイストな味付けがしてあるのが、やっぱり黒田みのる先生。(注2)
 でも、あくまで映画のコミカライズですので、ストーリーを乱すまで派手ではありません。

 ちなみに、これを読んで、人間と猿人の上下関係が入れ替わる「猿の惑星」は、「風刺」の要素が強いことに今更ながら、気が付きました。
 「もっとも偉大なデキュメンタリ―作家」と言われるフレデリック・ワイズマンの問題作「霊長類」(「Primate」/1974年)とあわせて鑑賞すると、趣は倍増です。(注3)

・注1
 ビデオのなかった時代にどうやって、ここまでコミカライズできたのだろう?

・注2
 わたなべまさこ先生と黒田みのる先生は、どんなジャンルでも、自分色に染め上げてしまうように私は感じております。

・注3
 過去、近場(と言っても、車で一時間)の映画館で「フレデリック・ワイズマン特集」をやっていて、その際に、鑑賞いたしました。(「霊長類」と「高校」)
 仕事の都合で、大問題作「チチカット・フォーリーズ」(1967年)を観れなかったのが、いまだに心残りです…。

・備考
 若干、痛みあり。表紙にシールの剥がし痕。

2020年3月2日 ページ作成・執筆

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