黒田みのる「霊障人間」
(1979年8月15日第一刷・1984年12月15日第十刷発行)
・「第1章 蠢くものの影」
「牧村英夫はパチンコをしている最中、自分が住み込んでいるクリーニング屋が火事だと知る。
二階の部屋には、赤ん坊の高夫を一人で寝かしていた。
彼は急いでアパートに戻り、梯子で二階へ上る。
そこで牧村は、妻の幽霊が赤ん坊を火事からかばっているのを目撃する。
火事の後、牧村のもとに、西条医師と金山女医がやって来る。
西条医師は心霊現象を研究しており、牧村は妻のみどりを亡くした後、妻に会いたい一心で彼のもとで霊魂について学んでいた。
そして、金山女史は西条医師の先輩で、「手かざしのわざ」を得意としていた。
金山女医は、火事は彼にとり憑いている悪霊の仕業と断言する。
彼女の言う通り、彼の家族や妻は火事や火傷で亡くなっていた…」
・「第2章 呪いの館」
「牧村は、西条医院で金山女医から「手かざしのわざ」を受けることとなる。
その場には、西条の妹、広子と彼の父親も立ち会う。
西条の父親は心霊現象に懐疑的であった。
牧村が「手かざしのわざ」を受けると、彼の口を借りて、憑依霊が語り始める。
その憑依霊は、450年前、部下に裏切られ、一家を皆殺しにされた領主であった…」
・「第3章 霊障の発見」
「牧村は仕事の後、西条と約束して、金山女史のアパートを訪ねる。
彼女は二人に霊障に対する蘊蓄を傾ける。
憑霊の幾つかの実例。(嫉妬した腰元の霊が乳房にとり憑いた女性、軍馬の霊に数十年ぶりにとり憑かれた体育教師、etc...)
憑依霊の種類とそれがもたらす災害について。
そして、憑依霊を除霊するための「手かざし」について。
彼女は「(病気は)80%以上が霊のため」と語るのだが…」
・「第4章 実証への旅」
「牧村と西条は、金山女史の紹介で、粕谷美知子という娘と出会う。
彼女の前世は、475年前に筑前粕屋郡一帯を治めていた青木右衛門の娘、みさお姫であった。
みさお姫には幼い頃からのびきというお付き女中がいたが、姫が婚約する頃、彼女は殿の右衛門に犯される。
また、恋人は殿の差し金によって殺され、のびきは殿を恨みながら、首吊り自殺をする。
怨霊となった彼女は殿に憑こうとするも果たせず、みさお姫に憑依し、戦乱の際に、姫を殺させる。
数百年後、みさお姫は粕谷美知子に転生し、のびきの霊は彼女に再び憑依。
美知子は中学生の頃から激しい頭痛と喉の圧迫感に悩むようになり、高校卒業後は仕事も辞め、医者からもらった薬でボロボロになっていた。
だが、金山女史に出会ったことで、彼女は「手かざし」を受けるようになり、順調に回復したのである。
美知子の話を聞き、牧村と西条は、のびきの霊の言葉を実証するため、九州に向かう…」
・「第5章 永遠のいのち」
「追跡調査から数日後。
西条医院に皆が集まっていると、皆川という事業家の男性が金山女史に連れられてやって来る。
彼が「手かざし」と関係を持つことになったのは十年前。
父親が亡くなり、運送会社の社長を継ぐ時に、会社役員の長谷が急に社長を名乗り出し、泥沼の裁判沙汰となる。
他にもトラブルは絶えず、心労で倒れた彼は、病院で金山女史と出会う。
彼女から手かざしを受けると、先祖霊が現れ、位牌がないため、食事ができぬと訴える。
彼が和歌山の実家に行くと、仏壇の引き出しに先祖の位牌が無造作に入れられていた。
位牌を供養した後、全てのトラブルが嘘のように去る。
また、彼は最近、寺田という少年に会っていると言う。
彼は不良扱いされ、親からも見放されていた。
彼に手かざしをすると、彼には、ヤクザだった彼の先祖に濡れ衣で殺された男の霊が憑依していた…」
「マンガでわかる!霊障・憑依霊/君にもできる「手かざし」入門」といった趣の作品です。
分厚いし、お得と思って、購入した小学生達にかなりのトラウマを与えた作品ではないでしょうか?
一応のストーリーはありますが、エンターテイメント性は薄いです。
そこは味のあり過ぎる作画でカバーして、あらゆるページが素晴らしい!!
どのコマも無駄にドラマティックかつ煽情的で、これはスタッフの溢れんばかりの信仰心が噴出(暴発?)しているためでありましょう。
特に、「第4章」のみさお姫の下りは、黒田先生と古出幸子先生の個性がいい塩梅に調和して、個人的に良いと思います。(若い娘の裸も多いしね)
2022年2月4・10日 ページ作成・執筆