黒田みのる「あの雲の果てまで」(150円/1961年1月15日発行)
収録作品
・黒田みのる「雪のお母さん」
「雪国。
父親と兄妹(浩一とマリ子)の三人が村から町へと向かっていた。
吹雪のため、三人は道を見失い、しかも、大切な掛け軸をなくしてしまう。
どうにか無人の小屋に辿り着き、三人はそこで一夜を過ごすが、夜更け、マリ子の前に雪女が姿を現す。
雪女はマリ子に自分を「ママ」と呼ぶよう頼み、このことは誰にも言わないよう告げて、姿を消す。
このことから三か月後、春の雪解けを迎えた頃、ある女性が掛け軸を発見し、これがきっかけとなり、彼女はマリ子の母親となる。
マリ子は新しい母親と楽しい生活を送るが、一年後、奇妙な男が彼女の前に現れる…」
・河本おさむ「石になった少女・前編」
「花子は、母親と喧嘩した際、川へと跳び込む。
この川には、石になりたいと思って入ると、石になってしまうという伝説があった。
川からは花子の服をまとった石が見つかり、母親は悲嘆に暮れる。
実は、これは花子の計略であったが、これのせいでで花子は家に帰りづらくなってしまう。
そんな時、カスリボーイズという不良連中が、彼女を家出少女と間違え、東京に連れて行ってしまう。
花子が東京に行ったことを知った、貧乏絵描きの川本は東京に向かい、花子を探すのだが…」
(続編は「港に夜霧が」に掲載と予告されているが、未確認)
「雪のお母さん」は、黒田みのる先生がバリバリの少女漫画を描いていた時代の作品です。
当時から怪奇ものへの嗜好があったようで、内容は一目瞭然、小泉八雲の「雪女」のアレンジです。
一部、意味が不明なところもありますが、ラストはちょっぴりしんみりします。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり、また、袖にビニール残り。糸綴じの穴あり。p63・64、大きな裂けあり。前の見開きに貸本店の紙、貼り付け。
2019年6月15日 ページ作成・執筆