「オール怪談」(1974年4月25日発行)

・古賀新一「みにくい子」
「近所で可愛いと評判の少女。
 少女は孤児、しかも、整形医師の青年と共に暮らしていたため、整形疑惑を受けていた。
 ある日、少女は自分の母親にそっくりの美しい女性と出会う。
 その女性を母と慕うものの、その女性は自分の子供はもっと醜かったと言う。
 少女は醜くなろうとするが、女性は自分の子供は奇○児だから、少女が自分の子供とは信じられないと言う。
 そして、少女のとった行動は…」
 物凄くイヤなマンガです。後味の悪さもかなりのもの。
 後に、児童虐待を描いた(個人的に)史上最凶のマンガ「餓鬼」を描いただけのことはあります。
 「怪談増刊号」(貸本/つばめ出版)収録の「奇妙な母子」を改題して、再録。

・いばら美喜「奴隷」
「受験勉強にうんざりして、夜の公園で時間を潰す青年。
 青年の座っているベンチの横に、綺麗な女性が腰をかける。
 言葉を交わし、青年は女性の家に寄ることになる。
 そこは廃墟だったが、地下室への入り口があり、地下は非常に立派な部屋になっていた。
 豪華な応対を最初は受けるものの、明日から奴隷だと、女性に告げられる。
 そして、青年は監禁の身となるが、どうにか脱出する方法を探る…」
 この作品もいばら美喜先生の女性不信の表れなのでありましょうか?
 この美人の正体は○○○○○なのであります。
 この発展系(?)が、「ミステリーマガジンシリーズS 面よごし」…かも…?
 「オール怪談・52」(貸本/ひばり書房)からの再録。

・小島剛夕「四谷怪談」
「仕官を夢見る、浪人暮らしの民谷伊右ェ門と、病弱な妻のお岩。
 貧しいながらも、二人は互いをいたわり合って、暮らしていた。
 伊右ェ門は、お岩の薬を手に入れるため、薬屋の阿波屋の娘に古典を教える。
 阿波屋の主人は、娘が伊右ェ門に惚れていることを利用して、伊右ェ門を養子に迎えようと画策。
 と言うのも、民谷という名前と家柄を手に入れることによって、公代御用達商となり、いろいろと幅を利かせることができるからであった。
 伊右ェ門はお岩との離婚は承知しなかったが、阿波屋の主人に仕官の口をちらつかせられると、心は揺れる。
 阿波屋の主人は、仕官を口実にして、お岩のもとにはたまに帰ることにしたら大丈夫と説得し、伊右ェ門は阿波屋への養子入りを承知してしまう。
 暗い気持ちで家に帰る伊右ェ門だが、阿波屋の主人の差し金で、お岩の薬は劇薬に変えられていた。
 伊右ェ門の態度からお岩は事情を悟るが、伊右ェ門の幸せのために独りで堪え忍ぶ。
 伊右衛門の留守の間に、お岩の病状は悪化する一方…そして、伊右ェ門と阿波屋の娘の祝言の日を迎える…」
 「怪談・79」(貸本/つばめ出版)からの再録。
 小島剛夕バージョン「四谷怪談」ですが、素晴らしい!!
 あの陰惨な「四谷怪談」を「純愛もの」にアレンジして、破綻なくきっちりまとめているのが凄過ぎます!!
「四谷怪談」のマンガ化は多数ありますが、これだけ「ナイス・ガイ」な伊右ェ門は恐らく、この作品だけです。
 ラストをどう感じるかで評価が分かれるかもしれませんが、ここは一つ、アレンジの妙を味わうべきでしょう。真剣に、復刻が望まれます。
 それにしても、やはり、小島剛夕先生もお岩神社にお参りしたんでしょうかね?

・浜慎二「星だけ・知ってる」
「外国人の宝石商を殺害して、宝石を奪った三人組。
 計画通りのはずが、逃げる途中、花売りの少女に見られてしまう。
 目撃者である少女を殺そうと、三人組の一人の青年が少女に近づくが、少女は盲目だった。
 少女に情が移り、青年は少女を殺せない。
 それどころか、明後日が少女の誕生日と聞き、少女のためにプレゼントをしたいと考える。
 金をつくるため、宝石をこっそり一個売るが、そこから足がついてしまう…」
 「怪談・94」(貸本/つばめ出版)からの再録。

・福田三省「生きてる目」
「何の前触れもなく、風船がしぼむように肉体が萎縮するミイラ病に若い女性が何人も犠牲となる。
 新聞記者の青年は、人間のエネルギーについて研究する老博士に関心を抱く。
 老博士は死んだはずの孫娘の治療に専念していた。
 そして、その孫娘はまさしくミイラのような身体をしていたのだった…」
2015年8月25・26日 ページ作成・執筆
2017年3月30日 加筆訂正
2017年11月13日 加筆訂正

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