さがみゆき「怪談ぼたん灯篭」(1974年6月5日発行)

「しがない浪人の身分である新三郎のもとに毎夜、通ってくるおつゆと、側仕(そばづかえ)のお米。
 新三郎が如何に問うても、おつゆは決して身許(みもと)を明かそうとはしなかった。
 一方、新三郎の近所に住む、お千代はある身分の高い人のお屋敷に奉公に上がることとなる。
 お千代は、そのお屋敷に奉公に行った後、行方をくらました、親友のお里についても調べるつもりであった。
 お千代が訪問した屋敷は人気がなく、住んでいるのは美しい姫様と使用人の老婆だけであった。
 その夜、お千代の枕元にお里が現れ、お千代に屋敷に一刻も早く出ていくように告げる。
 お里に庭へ導かれ、お千代は一緒に逃げようとお里に言うが、屋敷から出られないとお里は答える。
 そこへ姫様と側仕の老婆が現れるが、彼女達の正体は…?」

 実は、この作品、オーソドックスな怪談かと思いきや、「牡丹灯篭」と「吸血鬼ドラキュラ」を(無理矢理に)ミックスさせたものなのです。
 一応のストーリーは「牡丹灯篭」なのですが、約半分のページがお千代の吸血鬼の屋敷でのサバイバルに割かれており、さがみゆき先生のフロンティア・スピリッツを感じさせます。
 が、何故吸血鬼になったとか説明は一切なく、「吸血鬼ドラキュラ」の設定や雰囲気だけを強引に江戸時代に持ち込んでいますので、非常にちぐはぐな印象を受けます(が、それも味のうち。)
 それにつけても、「吸血少女カーミラ」の時とは違い、日本の吸血鬼の場合には「お守り」でも対応可能なことが確認できました。(ヴァン・ヘルシング博士、これは新発見ですよ!!)
 ちなみに、このマンガで最も恐ろしいコマはp169の上段、棺で眠るおつゆを新三郎が殺せなかった後で見せる「笑顔」です。
 実際にこういう面して、陰でほくそ笑んでる人っていそうでイヤ…。

平成27年12月22日 ページ作成・執筆

ヒバリ黒枠・リストに戻る

メインページに戻る