古賀新一「いもむし」(1972年7月31日発行)
収録作品
・「いもむし」
「花岡絵里は、孤児院からのもらわれっ子。
絵里の父は病院の院長を勤め、家は裕福であったが、両親は本当に絵里を愛しているわけでなく、見栄のために絵里を引き取ったのであった。
そういう境遇の絵里が猫の顔をしたデキモノに憑りつかれたり、継母に餓死させられた醜い「いもむし」少女の霊に襲われたりする…」
え〜っとですね…粗筋を述べるのがなかなかに困難です。
実はこれ、集英社のりぼんの雑誌付録に掲載された「のろいのこぶ少女」と「虫少女」を無理矢理一つの作品に仕立て上げたものなのです。
内容の辻褄を合わせるために(合ってませんが…)、加筆されておりまして、筆のタッチが違いが興味深いところです。
タイトル通り、江戸川乱歩の「芋虫」の要素が入っておりまして、そこがヒバリ・ヒット・コミックスで復刻する際のネックとなったようです。
・「妖怪の火祭り」
「由起は病気のおばを見舞いに行く途中、電車の中でクラスメートの良一と出会う。
彼は学校新聞の取材のために、峰田村に訪れようとしていたが、そこは由起のおばの住む村であった。
由起のおばは若くて、美しい人なのに、その土地の風土病に侵され、老婆のようにやつれ果てていた。
過去に稲妻に打たれ、霊能力を身につけていた良一は、由起のおばの口から「しじみ」がとび出すのを目撃する。
妖怪の仕業と察し、良一が川を調べると、巨大な「しじみ」の妖怪の群れに襲われてしまう。
一方、由起は、病気のおばが、昔、年寄りを捨てていたという姥捨て山に歩いていくのを見て、その後をつける。
すると、おばの手足や首が外れ、由起に襲いかかってくる。
由起が意識を取り戻すと、そこは廃寺で、大勢の老人に取り囲まれていた。
一人の老人が外の木を斧で傷をつけると、木から血が流れ出し、その血を老人達は由起に飲ませようとする。
その木は良一が姿を変えられたものであった。
木となった良一は由起を抱いて、その場から逃げ出すが…」
いや〜、こういう話、好きなんです!!
粗筋を読んでも、さっぱりワケがわからないでしょうが、本当にこういう話なのです。
ネタバレなのですが、ラスト、雷の力で「鬼」(レスラーパンツ一丁)に変身した良一が妖怪どもをやっつける際の、B級ヒーローぶりに心打たれます。
ちなみに、マンガに出てくる、このモンスター(右の画像を参照のこと)…中山昌亮先生の名作「不安の種」にも出てませんでしたっけ…?(赤ちゃん、抱かせて…の話)
単なる偶然の一致になのでしょうが、昔のマンガと現在のマンガがひっそりと、しかし、がっちり結びついているような気がして、ほんわかします。(相変わらずの勘違いっぷりです…。)
2016年4月21・22日 ページ作成・執筆
2017年12月31日 加筆訂正