宮本ひかる「猫喰い少女」(1975年3月25日発行)

「滝川三十三万石の城下町、S市。
 主人公の栄一が恋をした。
 相手は、滝川公園のそばにある、大きなお屋敷のお嬢さんであったが、そこはバケ猫屋敷と呼ばれていた。
 ある冬の日、栄一は雪だるまの中から、腹を裂かれた猫の死骸を発見し、墓を作って、厚く弔う。
 その夜、その猫の霊が女性の姿を借りて、栄一の枕元に立ち、願いを一つ叶えようと言う。
 栄一はバケ猫屋敷のお嬢さんを紹介してくれるよう願うが、猫の霊はそれだけはダメだと強く反対する。
 そして、恩を返すためにも、あの屋敷に栄一を絶対に近づけさせないと、消えていったのであった。
 翌日、お嬢様にアタックするために、栄一は屋敷を訪れるものの、妹のノコが顔を突っ込んで、失敗。
 あきらめきれない栄一は、その夜、一人、屋敷に忍び込む。
 屋敷のお嬢様は、栄一がやって来るのを待っており、栄一を屋敷の中に案内する。
 中は鎧兜や刀等、昔の武家屋敷のようであった。
 お嬢様は栄一に幻の名刀というものを手渡し、それを抜くように勧める。
 その時、栄一の後をつけて来たノコが姿を現す。
 ノコには栄一の手にしているものが骨にしか見えないが、栄一は気がついていない様子。
 お嬢様に言われるまま、栄一が刀を抜くと、その瞬間、栄一の目の色が変わる。
 不敵な笑みを浮かべながら、栄一はノコに対して斬りかかり、ノコは逃げようとするも空しく、首をはねられる。
 ノコの首を掲げ持ちながら、高笑いするお嬢様。
 これには、三百年前の、男女の三角関係がもたらした、悲惨な事件の因縁が絡んでいた…」

 冒頭、猫の腹を掻っ捌いて、内臓を掴み喰いする少女の描写で始まり、面くらいます。
 他にも、首をはねる描写や、「姫の亡霊 vs 猫の生首」シーンといった、グロ描写が盛り込まれ、いい感じです。
 ストーリーもよく練られており、面白いと思います。
 でも、出来はいいとは言えません。穴だらけです。「猫喰い少女」が何故、猫を食べるのか、説明はほとんどありません…。
 また、個人的に、この「絵」が肌に合わないのも、残念なところ。
 とは言え、このマンガが好きという人も多いと思いますので、十人十色ということで。

・備考
 喫茶店で使われたもの。小口やページの上部に、喫茶店のスタンプが幾つかあり。補強のためか、袖や背表紙にセロハンテープの貼り付け。テープが古びて色褪せて、遊び紙等に着色。

2016年6月3・4日 ページ作成・執筆

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