古賀新一「死人島にさく花は…」(1972年6月25日発行)

 収録作品

・「死人島にさく花は…」(原作/剣わたる)
「戦時中は毒ガス製造工場があり、ホトケカズラの咲き乱れる、死人島と呼ばれる無人島。
 強化合宿のために、バレー部員六人と、新任のコーチである片桐先生は、死人島に向かう。
 片桐コーチは、昔はバレーの名選手であったが、試合中の事故で右足が不自由になっていた。
 しかし、彼女達以外は無人のはずの死人島で、部員達は謎の女性に次々と襲われる。
 疑心暗鬼の中、初めは片桐コーチが疑われるが、次には部長の弥生が犯人扱いされることとなる。
 死人島で暗躍する、謎の女性の正体とは…?」
 このマンガを読んで、つくづく感じたことは「怪奇漫画家はスポ根が苦手」ということでした。(注1)
 「サインはX」の影響でしょうか、バレー部の少女達を主人公に据えてますが、スポーツものの要素は非常に薄いです。
 ただ、ラストの「火の玉」レシーブにはちょっと感銘を受けました。(ムリヤリ半分、ヤケクソ半分でスポ根してます!!)
 あと、思ったことは、「孤島」って怪奇ものと相性がいいですよね。
 殺人鬼、人間狩り、モンスター(古代の巨大生物から遺伝子変異生物まで)、マッド・サイエンティスト、腐乱ゾンビの群れ、人喰族、そして、キチガイ…。
 この最後のやつが引っかかったせいか、この作品は後の単行本では再録はされていないようです。

・「ふたつの顔 影がすすり泣く」
「スキーの事故で記憶喪失になった由香は、母親と名乗る女性に陰気な屋敷に連れて来られる。
 由香の妹のつゆ子は美しい少女であったが、どこか様子がおかしい。
 わけもわからず、自傷行為を働いたり、夢遊病者のように由香に襲いかかったりする。
 そして、夜には屋敷の離れのお堂に閉じ込められてしまうのだった。
 ある夜、すすり泣きを耳にして、由香がそのもとへ向かうと、一つ目の少女が由香に襲いかかってくる。
 その少女は、つゆ子のもう一つの姿であった…」
 さがみゆき先生の名作「鬼火の棲む家」を彷彿される内容です。
 同じテーマを扱っても、調理方法が異なるところに、資質の違いが窺えて、興味深いです。
 さがみゆき先生は、雰囲気を盛り上げていって、クライマックスを迎える「ミステリー」仕立てにしておりますが、古賀新一先生は有無を言わせぬショック描写の嵐で勝負です。
 かなりトラウマ度は高いのではないでしょうか?
 ラストは、今読んでも、なかなか怖いと思いました。
 古賀新一「トカゲ女の子守歌」or「影のすすり泣き」(廣済堂)にて再録されております。

・「のろいの笑い面」
「ある村の盆踊りでは、村人達はお面をかぶって踊るのが習わしであった。
 病気の祖母と二人暮らしの理沙は、一人で行っても、つまらない。
 それでも、祖母を心配させたくないために、盆踊りに出向く途中、両親のいない少年と出会う。
 同じく家族のない者同士、二人だけで楽しく踊って過ごす。
 踊り疲れて、二人のお面が取れてしまうが、少年の素顔は…」
 ヒバリ・ヒット・コミックスでの「女とかげ」にて再録されております。

・注1
 とは言うものの、作品はあることはありますので、知っているものを挙げてみます。
 さがみゆき先生の「スパイク1・2・3」(未読)
 浜慎二先生はスポーツを題材にした作品多数。
 関よしみ先生の「裏切りのダンクシュート」
 あと、日野日出志先生・原作のサッカー漫画があるらしいのですが、詳しくは知りません。
 そう言えば、手塚治虫御大もスポ根・マンガは描けなかったとか…さもありなん。

・備考
 読み癖あり。あちこち割れ気味。pp49・50、上部隅にコマにかからない欠損あり。

2016年5月16日 ページ作成・執筆

ヒバリ黒枠・リストに戻る

メインページに戻る