さがみゆき「恐怖の人形寺」(1974年5月31日発行)

「蝋人形の展覧会に出かけた、里見ひろしと吉川純子の二人。
 怪奇ものの蝋人形を展示している会場で、ひろしは一人の女性に抱き着かれる。
 恐怖に慄く女性の指差す先には、ヨハネの首が乗る皿を片手に掲げ持つサロメの人形があり、その人形の中からは蛆虫がわき出ていた。
 中には人の死体が入っており、死体は、発見者である高峰さつきの姉、やよいのものであった。
 後日、さつきから電話で呼び出された二人は、彼女のマンションで訪ねると、さつきは部屋で倒れていた。
 そして、二人は窓の外にやよいの亡霊を見る。
 気絶から回復したさつきは、二人に奇怪な話を語る。
 高峰やよいは生前、蝋人形を観賞するのが趣味であった。
 やよいとさつきの姉妹は吉野の大峰山にある人形寺を訪ねる。
 やよいが寺を訪問した、真の目的は、寺を訪れたまま消息を絶った恋人の行方を探ることにあった。
 そこには、日本の妖怪の蝋人形が集められており、和尚が言うには、みな生命が宿っているとのこと。
 帰りの便がないので、二人はその寺に泊まることとなるが、その夜、釘の音でやよいは目を覚ます。
 音をたどっていくと、丑の刻参りの格好をした女性が、やよいにそっくりな人形の額に釘を打ち込んでいた。
 そのまま、やよいは意識を失ってしまい、翌日、さつきに発見されるが、やよいは自分に呪いがかけられていると感じる。
 もう一晩、二人は寺に泊まるが、夜中、釘の音に誘われるようにして、やよいは外に歩み出てしまう。
 さつきはやよいを追って、墓場へと出るのだが、そこには丑の刻参りの格好をした女性と、額に穴を開けた姉の死体があった…」

 カバーの袖に、京都の蝋人形館を訪れた云々の旨が書かれていますので、その体験をもとに描かれた作品なのでしょう。
(フランケンシュタインの怪物の蝋人形と、さがみゆき先生のツー・ショットも載ってます。メチャクチャ楽しそう…。)
 西洋的な蝋人形を、日本的な人形寺と(強引に)結びつける手腕が流石です。
 そして、行き着くところは、ゲテゲテ感炸裂の「妖怪」マンガ!!
 小学生が「ゲゲゲの鬼太郎」の妖怪を、独自かつ陳腐なオリジナリティーを加味して描いたようなタッチが素晴らしいと思います。(心から褒めてます。本当ですよ!!)
 ちなみに、黒枠版では、ラストで、さがみゆき先生、安藤社長、社員の男性の三人が、ひばり書房の事務所内で、ルバング島から帰還した小野田少尉の心霊写真やユリ・ゲラーの超能力についてダベっております。(ヒバリ・ヒット・コミックス版ではこの稿はカットされております。)
 当時のオカルト事情をちょっぴり偲ばせるのではないでしょうか?
 あと、どうでもいいことなんですが、新聞のコラージュのページで何気に混じっている顔写真って、さがみゆき先生の写真ですよね…。

平成27年12月31日 ページ作成・執筆

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