池川伸一「顔なし母の物語」(1972年11月30日発行)
「博美の母親が体調を崩し、次第にやつれていく。
何かに悩まされているようだが、原因はわからず、遂には精神錯乱まで起こすようになる。
また、父親も、庭の柿の木を見てから、振る舞いが怪しくなる。
ある日、出張に出かけたはずの父親が墓地で墓場に縋り付いて、涙を流して懇願しているのを博美は目撃する。
しかし、博美が母親と一緒にその墓の確認に向かった時には、墓は掘り起こされ、運び去られていた。
その夜、博美は風呂場で母親の秘密を知る。
母親の左の乳房の下に人の手首が喰いこんでいたのであった。
帰宅した父親は、母親と博美に自分の過去を打ち明ける。
それは若くして、病死した初婚の妻のことであった…」
貸本マンガの時代が終わり、一時期マンガから遠ざかっていた池川伸治先生の復帰後の第一作目らしいです。
内容的には、小泉八雲の「破約」を、「ゾンビ」の要素を加えて、アレンジした作品と言っていいでしょうか。
章の最終ページの下段が空白になっていますので、雑誌に掲載された作品なのではないか、と推測してます。(確証はありませんが…。)
そのためか、ストーリーが大きく逸脱(それが魅力なのですが)することなく、まとまっております。
今現在から見ると、非常に地味ですが、まあまあ、面白いと思います。
・備考
貸本。紐綴じあり。
2016年2月13日 ページ作成・執筆