杉戸光史「コックリの恐怖」(1974年11月25日発行)
「中村洋子の学校では、コックリさんが流行していた。
ある日、洋子の友達がコックリを先生に強制終了させられてから、洋子の周辺で異変が起こるようになる。
洋子は、コックリさんにより、「やまたのおろち」の蛇霊の存在を知るが、その時には、彼女の友人達は何人か憑りつかれていた。
彼女の友人達は次々と「やまたのおろち」の霊の毒牙にかかり、頼りにしていた男友達の熊沢正也、両親までも憑依されてしまう。
「やまたのおろち」の霊は、八番目の餌食として洋子を襲う。
逃げまどう洋子の前に、霊能者の占部示現斎が現れる。
そして、「やまたのおろち」の霊と「スサノオノミコト」の霊の決戦の火ぶたが切られることとなる…」
「コックリ」を扱っているので、オカルトものかと思いきや、バリバリの杉戸光史流「蛇」ものでした。
一体どこから「やまたのおろち」の霊なんかが出てくるのか、不可解なのでありますが、最後まで説明はなく、どうもスッキリしません。
ただし、幾つか見所はありまして、「やまたのおろち」の霊は八つの頭を持っているので、八人の人間に憑りつける、といった設定なんか、ちょっぴり感心してしまいました。
しかも、憑りつかれた人間が集まると、「合体」して、巨大な蛇に変身するところも、それまでの「蛇」ものにはない(恐らく、以降もない)、斬新なアイデアかも。
また、巨大な蛇霊が犬を丸飲みする描写は、「蛇」ものの巨匠、古賀新一先生の絵柄を彷彿させ、杉戸光史先生に与えた影響を窺うことができます。
何だかんだ言いましたが、それなりに楽しめた作品でした。
ヒバリ・ヒット・コミックスにて「呪いの学校にヘビ女!!」と改題されて、再刊されております。
・備考
貸本。小口の天と底に貸本店のスタンプ。鉄鋲にて綴じ。カバーに痛みや傷、欠損、汚れあり、更に、背表紙裏に補修あり。p61、上部、ボールペンによる落書きあり、また、その描き痕が浦のページに刻印。
2017年12月26日 ページ作成・執筆