杉戸光史「たたりの狂女」(白枠/1971年3月30日発行)

「会社社長の娘、白鳥純子はガラスサッシに手紙が挟まれているのを発見する。
 手紙には、白鳥家の人間を皆殺しにする旨、予告されていた。
 その日、白鳥純子が、買い物に行った帰り道、車の前に、包帯で顔をグルグル巻きにした少女が車の前にとび出してくる。
 運転手は少女をよけようとして、岩壁に激突して死亡。
 純子は怪我は大したことはないものの、病院で静養することとなる。
 その夜、病室が急に停電すると、例の包帯少女が病室にやって来る。
 包帯少女はあの手紙を出した主であり、顔の包帯を取ると、醜い素顔が露わになる。
 包帯少女はナイフを手に純子に襲いかかり、あわやと言う時、その姿は消え、ナイフだけが残される。
 純子は包帯少女について話すが、誰も信じてくれず、ボーイフレンドの宮本和生に相談する。
 その最中、和生の家で彼女に電話がかかり、純子が出ると、それは包帯少女からの第三の復讐の予告であった。
 訝る純子の目の前で、カーテンの模様の葉っぱが床に舞い落ちると、その中から包帯少女が現れる。
 純子は自衛のために置物の壷を手にするが、いつの間にか壷は毒蛇に変わり、蛇に噛まれた純子は発狂する。
 彼女は白雲平の別荘で療養することとなり、十日程度で落ち着きを取り戻す。
 この別荘の近くには、滝があり、純子が滝を眺めていると、見知らぬ女性が現る。
 彼女は自然を賛美し、公害は「自然の反逆」と語る。
 だが、純子の考えは…」

 インパクトのあるタイトルで有名ですが、内容は公害に対して問題提起をしたもので、所謂「キワモノ」とは違います。
 ただし、公害について扱っていても、水俣病とイタイイタイ病を混同している節があり、公害への深い理解があったようには思えません。
 まあ、師匠の池川伸治先生と同じく、「アツい思い」のみが先行した作品なのでありましょう。

 あと、この単行本の袖には、杉戸光史(すぎと・こうし)先生のプロフィールが載っております。
 生年月日や本名まで記載されておりますが、個人的に、興味深かったのが、デビュー作が「人形は生きていた」という事実。
 この記載で「宮本光=杉戸光史」なのが明らかになりました。(ほぼ間違いないと思います。)
 後の太陽プロに似たような「宮本ひかる」先生がいたために、混乱しておりましたが、ようやくスッキリしました。
 ただ、宏文堂の宮本光・名義の作品のページをこれから訂正しなければならないので、ちょっと手間…。

・備考
 貸本使用。カバー痛み。本体、ホッチキス留め。本文、シミや汚れ、あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2018年3月13日 ページ作成・執筆

ヒバリ黒枠・リストに戻る

メインページに戻る