浜慎二「狂った生首」(1975年9月15日発行)



 収録作品

・「魔首」
「ある村で、生きたまま、首をもぎ取られるという殺人事件が連続して起きる。
 被害者は皆、ある兄弟の死に関係していた。
 半年前、開発計画に反対して、土地を売るのを決して肯(がえ)んじようとしない章太という若者がいた。
 開発計画を推し進めたい観光会社の社長は、村長を焚きつけ、章太をダンプで轢殺させる。
 しかし、執念故か、章太の生首だけが病院で療養中の弟のもとへ這っていくと、弟の腹に章太の顔が浮き出したのであった。
 これを知った村長は医師に命じて、章太の弟を生き埋めにする。
 今、兄弟は蘇えり、二人の死に関わった人々を皆殺しにして、復讐の手は観光会社の社長のもとにも伸びる…」
 首だけが病院の床を這っているシーンでラムジー・キャンベル「自分を探して」(注1)を思い出しました。
 あと、「狂った生首」と言えば、「ゾンバイオ 死霊のしたたり」を忘れてはいけませんね。(アッチの首はエロ狂いですが…。)

・「片目のねずみ」
「戦国時代。
 粗暴な野田城城主、菅沼定義の放った流れ矢によって、片目を失った少年、五平。
 五平をかばった父と、定義に復讐しようとした兄は殺され、その首をさらされる。
 五平は一命を取り留めたものの、家族のさらし首を見ても、何も反応せず、ねずみを見かけたら、捕まえて喜ぶようになっていた。
 五平は捕まえたネズミを家で壺の中に飼っており、村人達は五平の気が触れたと考える。
 彼の思惑や如何に…?」
 この単行本の中で一番面白いと思います。
 ですが、この作品はヒバリ・ヒット・コミックスの単行本では再収録されておりませんので、この単行本でしか読めないようです。

・「征服者」
「人類初の月面着陸が成功し、皆が浮かれ騒いでいる頃、一部でおかしなことが起こり始める。
 魚釣りをしていた少年達が、ヒッチハイクして、トラックの荷台に乗った若者達が、マンモス団地がある地域で虫を捕っていた子供達が、謎の死を遂げる。
 一体何が起こっているのであろうか…?」

・「犬男」
「一人息子を野犬に噛み殺された獣医の老人。
 彼は犬に対する憎悪を募らせていき、抑えることができなくなっていく。
 はずみで、老人は助手の青年を殺うが、顔についた血が消えなくなる。
 そして、遂に老人は…」

 作品の合間に「怪談考」(p87)「恐怖考」(p141)「怪奇劇画考」(p186)と題したエッセーが載っております。
 読みやすく、しっかりした文章で、なかなか面白いです。
 特に、「怪奇劇画考」に書かれてある、浜慎二先生自身の体験談は、出てるものも引っ込む、正にキョ〜フです。

 「魔首」と「犬男」は、ヒバリ・ヒット・コミックスで出された 「闇に光る幼女の目」に再録されております。

・注1
 S・D・シフ編「マッド・サイエンティスト」(創元SF文庫/1982年4月30日初版・1999年3月26日再版)に収録。

2016年3月20日 ページ作成・執筆
2016年10月23日 加筆訂正

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