まちだ昌之「毒蛾少女」(後書きは1973年10月17日/1975年7月30日発行)



「人里離れた僻地に建つ洋館。
 そこには、蛾の研究をする科学者である蛭田と二人の娘、順子と夕子が住んでおり、また、館の地下には、気の狂った母親が監禁されていた。
 幼い頃の怪我がもとで片目が潰れている順子は、美しい夕子に嫉妬し、何かとつらく当たる。
 だが、順子は蛭田の実の娘ではなかった。
 13年前、順子と夕子がまだ赤子だった頃、妻に先立たれた蛭田は、医学界の権威である藤田和夫博士のもとで助手を勤めていた。
 蛭田の子、夕子は、藤田博士の妻によって、同じ頃、産まれた順子と共に世話されていた。
 ある日、藤田博士は、蛾の鱗粉から治癒能力を格段に高める成分の抽出に成功。
 金と名声を欲した蛭田は藤田博士を惨殺、しかし、薬は失われてしまう。
 また、殺害現場を目の当たりにした、藤田博士の妻は発狂する。
 蛭田は藤田博士の財産を横領し、薬が完成した時の実験台として、藤田博士の妻とその娘、順子を生かしていたのであった。
 そして、長年の研究の末、蛭田は再び薬を完成させる。
 同じ頃、順子は地下に幽閉されている母親から、真相を聞かされる。
 母親は、蛭田に殺されないように、今までずっと狂人のフリをして、復讐の機会を窺っていたのであった。
 順子はその話に半信半疑だったものの、実験室で蛭田にエーテルをかがされ、薬の実験台にされる。
 順子の腕につけた切り傷は見事に治り、実験は成功したかに見えたが、この薬の作用により、順子は蛾に変身できる体質となる。
 毒蛾少女と化した順子は、母親と共に、蛭田と夕子に復讐しようとするのだが…」

 楳図かずお先生の影響大なマンガです。(注1)
 また、ムロタニツネ象先生の傑作「インセクト・ゾーン 虫地獄」の変身シーンをパク…参考にしております。(上右手の画像を参照のこと。)
 毒蛾少女の造形も、もしかしたら「仮面ライダー」か何かからの怪人を参照にしているのかもしれませんが、あのあたりの知識が全くありませんので、わかりません。(注2)
 こういうマンガですので、優れたマンガとは口が裂けても言えません。
 絵は上手くないし、ヒロインは可愛くないし、毒蛾少女はB級モンスターだし、ストーリーはデタラメかましてるし…と、多々あるのですが、それでもね、面白いです!!
 ここにあるのは「B級怪奇マンガ」の醍醐味。綺麗事など微塵も存在しない「悪趣味」な世界なのであります。
 ただし、それだけにとどまらず、容貌の醜さ故、心まで醜くなったことを実は深く自覚している順子の寂しさが、余情を(ちょっぴり)醸し出している点も見逃せません。
 とは言うものの、大枚をはたいて入手するべきものかどうか…う〜ん、ビミョ〜…。

・注1
「恐怖」の中の一編でしたか、蛾人間の話がありました。
 恐らく、その話からかなりいただいているはずです。(また確認をちゃんと取ってないのですが…。)
 ラストの、女性の口から糸(?)が出ている描写が、子供心に怖くて、怖くて…。

・注2
 私は、何故か子供の頃から現在まで、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」といったものに全く興味がありません。
 あれだけテレビでやっていたはずなのに、観たという記憶がほとんどないのです。
 昔から、他の男児が騒いでいるものには目もくれず、「ゲゲゲの鬼太郎」(1980年代のものもいいけど、思い入れがあるのは1970年代のもの)に夢中なガキなのでありました。

・備考
 状態悪し。貸本。カバー痛み、特に後ろの袖の上部、軽くネズミにかじられた痕あり。小口にシミ。pp42・43、激しく割れ、その他の箇所も割れ気味のところ多し。後ろの遊び紙に鉛筆で書き込みあり。

2016年4月19日 ページ作成・執筆

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