杉戸光史「妖怪どろ娘」(1974年6月25日発行)

「佐々木祐子(中学一年生)は、一週間も同じ悪夢に悩まされる。
 その悪夢とは、土亡霊に全身泥まみれにされて、窒息死するというものであった。
 ボーイフレンドの菅郁夫(中学三年生)に勧められ、彼女は、彼の父親の実家である白髪村に旅行する。
 だが、そこでも、夢で見たどろ娘が現れ、彼女を襲う。
 また、その翌日には、実家で飼われていた犬がたった一日で腐乱死体になったりと、おかしいこと続き。
 菅郁夫は、怪奇漫画家の杉戸光史を呼び、三人で、どろ娘が現れた森を調べることとなるのだが…。
 どろ娘の正体とは…?」

 薄っぺらなストーリーよりも、杉戸光史先生御本人がでしゃばりまくっていることの方が遥かに印象的です。
 ひばり書房本社で古賀新一先生に「宿命のライバル」と嫉妬の炎を燃やしたり、喫茶店でネーム作りに苦心したりと、なかなか興味深くあります。
 ただ、作品の中では結局、脇役でしかなく、哀愁溢れる後ろ姿で「終」となるのでありました。
 あと、巻末の「あとがき」が味わい深いです。
 結婚式に出た際、先輩漫画家からギャグ漫画を描いているのかと問われ、怪談ものを描いてますと答えたら、「きみは道をまちがった」と言われたとのこと。
 本当に「道をまちがった」のかどうかはわかりませんが、個人的には、後のエロ漫画の方が怪談ものよりも向いていたと私は思っております。

 ヒバリ・ヒット・コミックスにて「妖怪どろ娘」or「恐怖!!顔がこわれる女」のタイトルで再刊されております。

・注1
 上部に折れあり。

2020年1月27日 ページ作成・執筆

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