古賀新一「わたしの葬式」(1972年4月20日発行)

 収録作品

・「わたしの葬式」(原作/剣わたる)(少女フレンド/1967年発行)
「私立和泉学園に転校してきた伊藤初美。
 黒衣に身を包んだ彼女はある決意を秘めていた。
 それは、恋人の吉本武彦の視力を奪った真犯人を探し、同じ目に合わせるということ。
 一月前、修学旅行中の生徒が乗ったバスから投げ捨てられたウィスキー瓶が武彦の顔を直撃して、視力を失うという事故があった。
 初美はそのバスに乗っていた番長グループに近づく。
 番長グループの主だった連中は四人、番長の矢野、林、石川、大木。
 委員長の沢田の心配をよそに、初美は恐るべき執念で彼らを一人一人問い詰めていく…」
 原作はあるようですが、その元ネタは、コーネル・ウールリッチ(aka ウィリアム・アイリッシュ)の「喪服のランデヴー」(1948年/未読)なのでしょうか?
 「わたしの葬式」の方は、うちに強い決意を秘めた美女が恋人を死に追いやった犯人を追い詰めるというもので、古賀新一先生の描く「陰のある美少女」が、内容にマッチしており、実に素晴らしい!!
 クールなようでいて、内に秘めた熱情は臨界点寸前…目力がハンパないです。
 「黒髪の呪い」(大陸書房)に再録されております。

・「こびと少女」(1968年「りぼん」5月号付録
「継母から虐待を受ける、醜い少女、妖子。
 父親が留守の間は、犬小屋に住まわされ、食事は残飯ばかり。
 継母は以前は優しかったが、ネズミの死体を見たショックから、頭がおかしくなったのであった。
 ネズミのように卑小な妖子に継母は様々な虐待を加え、遂には、大量の飢えたネズミに妖子を襲わせる。
 しかし、そのショックから、妖子は奇怪な変貌を遂げ、継母に復讐しようとする…」
 これは凄いマンガです!!
 冒頭の犬小屋に住む少女の描写からして、ヤバ過ぎです。
 また、継母の狂いっぷりも、あまりにストレートで、高笑いする描写なんか、こちらも楽しくなってきます。(でも、意外と計算高いのがポイント。)
 当時の古賀新一先生のスタイルに則ったもので、幼児虐待、ロウソク責め、喰いちぎられる指、ネズミの群れに全身をかじられる等、問答無用のショッキング描写が息つく暇もなく、展開されます。
 そして、ラスト付近で登場する「RAT GIRL」!!
 設定といい、造形といい、いろいろと問題をはらんでいるような気がしますが、とりあえず、「こびと少女」じゃないよなあ…。
 ともあれ、当時、最大のライバルであったろう、楳図かずお先生に負けてなるるものかという意地が、半世紀経った今現在でも熱気を持って伝わってきます。

・「黒髪の呪い」(ファニー/1968年発行)
「バレエ団のスターの花園美佐は見通しの悪い山道で人身事故を起こす。
 女性をはね、車は崖下に転落、炎上するが、美佐はかすり傷一つせずに済む。
 しかし、轢かれた女性は死亡、その女性は片足が義足であった。
 美佐は近くの旅館に事故を知らせるが、そういう事故はなかったと旅館の主人は話す。
 更に不可解なことに、美佐の車の残骸も消えていた。
 わけがわからないまま、美佐は帰宅するが、急に歩けなくなる。
 その夜、美佐の前に、片足の幽霊が現れる…」
 片足だけ立っている描写がなかなか不気味です。
 「ペーパーハウス 霊少女」(タイトルうろ覚え)という映画をちょっぴり思い出しました。
 「白衣のドラキュラ」(ヒバリ・ヒット・コミックス)と「黒髪の呪い」(大陸書房)に再録されております。

・「恐怖の材木少女」
「おじいさんが大切にしている、庭の木を美佐は切り倒す。
 すると、その夜、美佐の身体は木に変身していく。
 家をとび出した美佐は…」
 10ページちょっとの短編ですが、意外なオチがあります。
 古賀新一先生しか描けないマンガかも…。
 ヒバリ・ヒット・コミックス版の「いなずま少女」に再録されております。

2016年5月2日 ページ作成・執筆
2016年10月12日 加筆訂正
2017年7月23日 加筆訂正

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