五島慎太郎「恐怖の予言者」(1975年3月15日発行)

「広大な領地のただ中に建つ館。
 そこでは、12歳のバーバラとその母、使用人のケロッグ、小間使いのマリー、そして、愛犬のリッキーが暮らしていた。
 バーバラの母とケロッグは狐狩りと称して、デス・バレーと呼ばれる緑豊かな谷に出かける。
 バーバラはそこに入ることは厳しく禁止されているものの、度々、こっそり遊びに入っていたのだった。
 ある日、バーバラがいつものようにデス・バレーを訪れていると、異様な仮面と服装をした人物の姿を目にする。
 訝っているところに、家の方角から悲鳴が聞こえ、急いで家に戻ると、マリーが大量の蜂に襲われていた。
 マリーは大量の蜂に全身を刺され、惨死。
 狐狩りから帰って来た母親にバーバラは泣きながら縋り付くが、母親は表情一つ変えず、バーバラを平手打ちにする。
 しばらくしてから、バーバラが母親に連れて行かれたのは、地下にある拷問部屋であった。
 今までの優しい態度とは一変、バーバラに対して冷酷になった母親は、バーバラを様々な拷問にかける。
 夜、愛犬リッキーの働きにより、地下から脱出したバーバラは道路に出たところで、警察官に見つかり、事情を説明するも、信じてもらえない。
 そこへ、運悪くバーバラの母親が車で通りがかり、バーバラは頭がおかしいと、精神病院に入れられてしまうのであった。
 そこはバーバラの母親が経営する精神病院で、バーバラはエドモンドという考古学者と相部屋になる。
 エドモンドは、デス・バレーを調査しようとして捕まり、ここに放り込まれたのだと言う。
 他の精神異常者が暴れるのを利用して、二人は病院から脱出を図る。(何故か、地下にトンネルを掘ってある。)
 エドモンドと別れ、バーバラは家に向かうが、窓の外で母親が、バーバラは自分の子でない、と言うのを聞いてしまう。
 千々に乱れる思いで、バーバラは森へ逃げ込むが、そこで探検服の男に出会う。
 男の背には槍が刺さっており、バーバラの手首に奇妙なリングをはめると、こと切れる。
 バーバラは異様な仮面をつけた男達やケンタウルスに追われながら、デス・バレーの奥深くに入っていくが、そこでバーバラが目にしたのは、古代文明の遺跡であった…」

「予言者」と書いて、「オカルティスト」と読ませます。
 当時は、オカルト・ブームの真っ盛りで、その時流に乗って描かれたのでありましょうが、UFOや「フォース・フィールド」「賢者の石」「ジュピター・エフェクト」といった、マニアックな要素が雑然と盛り込まれ、なかなか奇妙なマンガとなっております。
 まあ、勢いだけで描かれた作品でありますので、ここは怒涛の展開、そして、後半の大スペクタクルを食傷するほど、味わうのがよろしいかと。
 読んだ後には、「ワケがわからん…」という思いのみが残りますが、この世には人間の理解を超えたことが多くあるのだ、と、お茶を濁しておきましょう。

2016年1月17日 ページ作成・執筆

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