宮本ひかる
「毒ぐも十字架」(黒枠/1975年1月10日発行)
「毒ぐも十字架」(青枠/1975年9月10日発行)



「美沙と浩は、十字(むしもち)村にある久留巣山を訪れる。
 浩の案内で、滝を見に行くと、川の中に、男性の死体があった。
 その死体の腹には、奇怪な蜘蛛の模様が浮き出ており、二人はその場から逃げ出す。
 雨も降りだし、二人が水車小屋に身を寄せると、先程の死体がそこまで流れて来る。
 こんな所にはいられないと美沙が水車小屋をとび出した後、浩は死体から地図と大判の小判を発見する。
 美沙は途中、母親と会い、水車小屋に引き返すが、浩の姿はなく、美沙と母親は帰宅する。
 翌日、浩は美沙にこの地に伝わる黄金伝説について話す。
 この十字村は、処刑を逃れたイエス・キリストが流れ着き、その生を終えたと伝えられていた。
 江戸時代はキリスト教が盛んであったが、キリシタン弾圧の際、一揆を計画し、その資金を滝に隠したものの、村人は皆殺しにされてしまったと言う。
 浩は、地図から、財宝の在処は滝の裏にあると考え、滝の水をせき止め、洞穴を発見する。
 だが、その奥には、虐殺された村人達の怨念の塊が毒蜘蛛に姿を変え、財宝を守っていた。
 浩は毒蜘蛛に変えられ、美沙を襲う。
 十字村の歴史に詳しい用務員は、美沙を救うため、イエス・キリストの墓を捜すのだが…」

 こう言っては心苦しいのですが、つまらないと思います。(この作品が好きな人がおりましたら、ごめんなさい。)
 ただし、作品としては、「イエス・キリストの日本渡来説」「キリシタンの隠し財宝」といった要素を盛り込み、(成功しているかどうかは別として)意欲作なのは確かです。
 でも、あくまで私の印象なのですが、「(ひとを怖がらせようとする)やる気」がちっとも感じられないのがネックなのです。
 ちなみに、最も面白かったシーンは、財宝の箱を開けたら、ヒロインの母親が入っていて、高笑いをするところ。爆笑しました。
 あと、死体の腹に浮き出た、蜘蛛の模様は、日野日出志先生「七色の毒蜘蛛」からの借用?

・備考
 黒枠単行本は貸本使用。糸綴じの穴あり。前後の遊び紙、及び、袖にセロテープの痕あり。pp179〜184、折れ痕あり。
 青枠単行本はカバーの後ろ側に裂けがあり、それを補修。また、カバーに若干の色褪せ。

2019年7月22日 ページ作成・執筆

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