杉戸光史「赤毛の吸血少女」(1971年12月20日発行)

 収録作品

・「赤毛の吸血少女」
「山野辺洋子は、父親の研究の都合で、東京から奈良県K町に引っ越して一か月。
 父親のやつれぶりが心配だが、さっぱり原因がわからない。
 ある日、新聞記者の兄、幸一が一週間の休暇をもらって、帰って来る。
 洋子は幸一に車で送ってもらうが、途中、道路に竹棒がばらまかれていて、事故を起こしそうになる。
 土手には、赤毛で真赤な服を着た少女がおり、にやりと笑うと、姿を消す。
 帰宅後、幸一がその少女の話をすると、父親は顔色を変える。
 どうも、父親の衰弱の原因は、あの少女にあるらしい。
 その夜、洋子は赤毛の少女が屋敷の様子を窺うのを目にして、外に出る。
 少女の姿はなかったが、飼い犬の鳴き声が聞こえたので駆け付けると、その少女が飼い犬の血を吸っていた。
 更に、赤毛の少女は洋子にも襲いかかる。
 洋子の悲鳴を聞き、幸一は少女を追いかけるが、逆に血を吸われ、彼女に支配される。
 赤毛の少女は山野辺家に入り込み、家族へ復讐を目論むのだが…。
 彼女の正体とは…?」

・「山んばの里」
「日下家のある田舎では、山んばの伝説があった。
 日下家の一人息子、由起夫は、魚釣りに出かけた際、雨に降られ、使用人の佐々木祐子と共に、荒れ寺で雨宿りをする。
 その寺には、山んばの絵があったが、由起夫は迷信と一蹴する。
 帰り道、由起夫と祐子は、着物姿の美しい娘が病に苦しんでいるところに出くわす。
 由起夫は家に連れ帰り、看病の結果、娘は命をとりとめる。
 娘の名は小夜子といい、由起夫は彼女の美しさに見とれるが、祐子は彼女が「二口女」であることを知る…」

 「赤毛の吸血少女」は貸本からの再録です。
 再録に際し、貸本のカラーページ(pp1〜8/単行本ではpp5〜12)に若干の差異が見られます。
 推測に過ぎませんが、原稿を紛失したか何かで、トレースしたのではないでしょうか?(真相は謎です…。)
 「山んばの里」は妖怪もので、「赤毛の吸血少女」より幾分か面白いと思います。
 これに出てくる「二口女」は頭の口で猫を丸飲みするアグレッシブさで、新機軸ではないでしょうか?
 このまま、「デッドリー・スポーン」並にガリガリかじりまくれば傑作になったんでしょうが、結局は「ショボ〜ン」な出来です。
 杉戸光史先生の作品はアイデアがうまく活かせてない気がするのですが、これは厳し過ぎる意見でしょうか。

 ヒバリ・ヒット・コミックスにて再刊されております。
 再刊に際し、巻末のあとがきが削られております。

2019年11月6日 ページ作成・執筆
2021年4月16日 加筆訂正

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