杉戸光史「なめくじ少女」(1974年4月25日発行)


 収録作品

・「なめくじ少女」
「夜、悦子の寝室に現れた親友の澄子は「なめくじ少女」となって、悦子に襲いかかる。
 翌日、悦子は、下校時、澄子の後をつける。
 澄子は家とは違う方向の森の中にどんどん入っていくが、これは「なめくじ少女」の罠であった。
 澄子になめくじだらけの穴に突き落とされ、悦子は失神。
 気が付くと、男友達の和生の家に寝かされていた。
 安堵するのも束の間、巨大なナメクジが彼女に襲いかかる。
 だが、和生の機転によって、巨大なナメクジを退治すると、その正体は澄子であった。
 正気を取り戻した澄子から、悦子と和生はナメクジの棲家を教えられるのだが…。
 巨大なナメクジの正体とは…?」
「なめくじ」を扱った怪奇マンガはほとんど記憶にありません。(注1)
 私が思い出せるのは、伊藤潤二先生の「舌がなめくじになるマンガ」ぐらいでしょうか?(他にもあったら、ごめんなさい。)(注2)
 とにもかくにも、「なめくじ・ホラー」の最高峰でありましょう。
 この作品に出てくる「おおなめくじ」(注3)は巨大(1メートル)なだけでなく、パワフル(ドアを叩き壊してます)、動きも敏捷(ジャンプもできます)、粘液は毒性、口には牙…と、よくよく考えたら、メチャクチャ怖いです!!
 そんな「おおなめくじ」にひたすら追い回されるのですから、今読んでも、なかなかの気色悪さ。
 ストーリーとしては若干気になる点がちらほらあるのですが、それも元気溌剌なナメクジの前にはかすんでしまいます。
 ちなみに、「なめくじ」の弱点はやっぱりアレです。
 ワン・パターンなイメージの強い杉戸光史先生ですが、ここまでやってくれれば、「モンスターもの」として充分楽しめる出来だと思います。


・「神木」
「ある家の庭には、代々神木と呼ばれる、樹齢数百年のいちょうの大木があった。
 みどりの父親は先のことを考え、この神木を切ることに決める。
 みどりは、木のせいで部屋の日当たりが悪いことに不満を持っていたため、大喜び。
 だが、彼女に神木の精から木を切らぬよう、度々お告げがある。
 みどりは悪戯と信じなかったのだが…」

 「怪奇!なめくじ少女」(ヒバリ・ヒット・コミックス)のタイトルにて、ほぼ同内容で再刊されております。

・注1
 マンガではありませんが、S・ハトスンの小説「スラッグス」(ハヤカワ文庫)と、それを原作とする映画「スラッグス」がありますね。
 そのものズバリ「人喰いなめくじ」を描いたものです。
 小説の方は幾分物足りなく感じましたが、映画の方は凄まじいバッド・テイストさで(そのスジでは)評価が高いです。
 確か高校生の頃、ビデオで観て、裸の娘がナメクジで足を滑らせて、その後、貪り食われるシーンがゲロゲロでした…。
 何故か家にDVDがありますが、見返す予定はありません。

・注2
 「かたつむり」なら、北川玲子先生の「ラ・マルディシオン」や犬木加奈子先生の作品があります。
 ただ、「ラ・マルディシオン」を読むと、どうしてもパトリシア・ハイスミスの「かたつむり」と比較してしまいます…。

・注3
 このマンガを読んでいたら、突如、頭の中で「天誅」の「復活の呪文」が再生されました。
(一昔前、「笑える電波ソング」として紹介されておりました。)
 特に、以下の部分。
「おおなめくじが あらわれた
 こはやしは にげだした
 しかし まわりこまれてしまった
 おおなめくじBの こうげき
 こはやしは しんだ」
 この部分は何度聴いても、笑ってしまいます。

・備考
 裏表紙、カバーとともに折れ痕あり。

2016年4月24日 ページ作成・執筆
2018年6月7日 加筆訂正

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