流悦子「幽霊は生きている」(1975年7月15日発行)


「少年院から脱走した黒川裕策は、警官隊に追われ、山中の洞窟に逃げ込む。
 腹部に受けた弾傷に瀕死の裕策は、父親へ復讐するまでは死ぬに死ねない。
 裕策の父親により、裕策の恋人の家族を一家心中に追いやられ、ただ一人助かった恋人も同棲していたアパートで刺殺体となって発見、裕策は無実の罪を着せられたのであった。
 生きたいと願う裕策の前に、長い銀髪の男が現れ、唯一助かる方法があると告げる。
 意識を失った裕策が眠りから覚めると、裕策の身体は傷一つなく、回復していた。
 長い銀髪の男は、町へ出て、顔の美しい女性をさらってくるよう、裕策に命令する。
 その言葉に逆らえず、裕策は町に出ては、記憶のないうちに、美しい女性をさらう。
 そして、さらわれた女性は洞窟で顔の皮を剥がされてしまうのであった。
 一方、裕策とは一卵双生児の妹、結花は裕策の姿を見て、ショックを受ける。
 裕策は遺体となって発見され、もう葬儀も終わっていたのであった。
 双生児間の感応が働いたためか、結花は、長い銀髪の男の姿を夢に見る。
 夢の中で、裕策は洞窟の奥底に多くの霊に引きずり込まれ、長い銀髪の男は白骨へと変わる。
 裕策の危機を察知した結花は、裕策に警告するが、結花に男の魔の手が伸びる。
 長い銀髪の男の目的とは…?」

 当時の典型的な少女マンガ風の絵柄に、強引にB級怪奇マンガ・テイストを捩じ込んだ感のある作品です。
 ストーリーがわかりにくく、釈然としないところが幾つもありますが、グロ描写はこちらの予想以上に頑張っております。
 流悦子先生は恐らく、怪奇ものに興味はなかったのでしょうが、仕事として描いてるうちに、グロ描写の歯止めが(うっかり)きかなくなった…という印象を私は受けました。
 とりあえず、全ての元凶は「私の目はふしあなじゃないつもりだよ」(p46)と言いながら、実際は「ふしあな」もいいとこだった裕策の父親ですな。

2016年12月6日 ページ作成・執筆

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