古賀新一「のろいの顔がチチチとまた呼ぶ」(1973年7月5日発行)
・収録作品
・「のろいの顔がチチチとまた呼ぶ」
「愛子とその妹は、海水浴からの帰り、崖から海に飛び降り自殺をしようとする少女を助ける。
その少女を別荘に連れて行き、事情を聞くと、気持ちの悪い人形を抱き、その人形がいじめるので自殺を図ったと言う。
更に、奇妙なことに少女は片方の腕の肘に包帯を巻いていて、それは人形が噛みついた傷と説明する。
その夜、少女は人形を殺そうと、ナイフを片手に部屋にこもるものの、何者かに喉を噛まれ、瀕死の態で部屋から出てくる。
愛子は人形を叩き壊すが、少女の肘の包帯の下から醜い顔が現れて、愛子の腕に噛みつく。
医者が駆けつけた時には、少女は冷たくなり、肘にいた醜い顔は消えていた。
しかし、その醜い人面疽は、肘の噛み傷から愛子の身体に取りつく。
その人面疽のために、友人を失い、医者からも見放され、愛子とその家族は数々の不幸と恐怖を味わうこととなる…」
雑誌掲載されたものでありましょうか。
ストーリーに関しましては、古賀新一先生の典型的な「人面疽」ものであります。
とりあえずは、タイトルと単行本のカラー・ジャケットが素晴らしいです!!(「ゲ〜ジツ的」ではありませんか?)
廣済堂からの単行本でタイトルを変えて、再刊されております。
・「ミイラの影」
「辰夫は、友人の竹田と共に、人間嫌いの怪奇作家の住む、山奥の古びた屋敷を訪れる。
彼らの目的は、その怪奇作家を訪ねて、行方不明になった辰夫の兄を捜すことであった。
屋敷には小人の召使がいて、真っ暗な中でも、館の中で明かりをつけないように命令する。
というのも、彼の主人が灯りを嫌うからであった。
小人は辰夫の兄など知らないと言い捨てて、その場を立ち去る。
疑いを捨てきれない辰夫達が部屋を探ると、ガラスケースに入った怪物のミイラを発見する。
その時、天井裏に人の気配があり、竹田が天井に上がると、巨大な何者かに襲われ、喉から血を吸われる。
辰夫は廊下に続く血の跡を辿って、ある部屋に入るが、そこには大きな箱があった。
そこへ、先程の小人が現れ、箱を開けないように言う。
小人が言うには、その中には彼の主人がいるとのことだが…」
今、読んだら、怖いと言うより、ヘンな話かも…。
「自分の影が、いつのまにか、世にも恐ろしい怪物になって、人の生血をすいはじめる」(p171)という発想はなかなかイカしていると思います。
・備考
カバー背表紙の上下に破れあり、また、裏の下に汚れあり。本体の下部、全体にわたって折れ痕あり。
2016年5月4日 ページ作成・執筆