五島慎太郎「バンパイヤ」(1975年9月10日発行)

「車による接触事故を起こし、記憶を失ったマリー。
 マリーの過去は彼女が持っていた日記に書かれていた。
 子供の頃に父親に捨てられ、長じては、唯一の肉親であった母親が病死。
 その後、アーノルドという青年と恋仲になるものの、その彼も彼女の腕の中で息を引き取ることとなる。
 天涯孤独な身の上となった彼女は、我が身の不幸を嘆き、ふらふらと車の前に歩み出てしまったのであった。
 車の持ち主であったジョンとイボンヌのカーチス夫妻は、娘のカトリーヌが池で溺死したこともあり、マリーを引き取る。
 カトリーヌの部屋をマリーにあてがうが、女中のヒルダはいい顔をしない。
 そして、マリーが館に住むようになってから、奇怪な出来事が起きるようになる。
 ある夜、寝室で休んでいるイボンヌの前にカトリーヌが現れ、イボンヌの喉元に噛みつこうとする。
 イボンヌが抵抗すると、カトリーヌの姿は闇の中に消え、後にはコウモリが一匹窓から飛んでいく。
 その数日後、年若い小間使いのジルは森の中でカトリーヌを死体を引きずる女吸血鬼を目撃する。
 幾度もカトリーヌに襲われたイボンヌは頭がおかしくなり、付近では吸血鬼の噂が立ち始める。
 吸血鬼は一体誰…?」

 今までの作風と違い、「幻想的」な雰囲気に重きを置いた作品です。
 また、吸血鬼を扱ったマンガの中でもかなりの変わり種でありまして、似たようなマンガは記憶にありません。
(元ネタは何なんなのか、気になります。オリジナル作品だったら、なかなか凄いことですよ。)
 惜しむらくは、ラストの説明があまりに無理矢理なために、ストーリーが非常にわかりにくいという欠点があります。
 一度読んだだけでは、はっきりとストーリーが掴めないように思います。(チビっ子達には理解できたのでしょうか?)
 そのこともあってか、あまり評価は高くないような気がしますが、個人的には、なかなか毛色の変わった作品として、お気に入りです。
 吸血鬼が池から現れるシーンや、ラストの吸血鬼との対決等、かなり味わい深いと思うのですが…。
 あと、師匠である浜慎二先生直伝の「肖像画から血」というギミックが使われているのも嬉しいところです。

2016年1月25日 ページ作成・執筆

ヒバリ黒枠・リストに戻る

メインページに戻る