さがみゆき「四谷怪談」(1974年5月25日発行)

 さがみゆき版「四谷怪談」です。
(ストーリーをくどくど書こうかと思いましたが、やめておきました。些細な違いを取り上げても、詮無い事です。)
 このマンガは執筆時に、さがみゆき先生がお岩さまの祟りを受けたらしく、慌てて四谷稲荷に詣でたという逸話があります。(注1)
 大筋は基本に忠実ですが、さがみゆき先生の「恋愛至上主義」はここにも表れてます。
 どのくらいか「恋愛至上主義」かと言いますと、瀕死のお岩が伊右衛門に向けた台詞(p115)。
「し…しんでください この岩と そ、そして父上におわびを
 岩は…岩はこんなにされても伊右衛門…さまが…すき…だいすきなのです」
 これを読んだ時、たま「あっけにとられたと時のうた」が頭の中で流れました。
 しかも、岩の怨霊は伊右衛門を直接的に苦しめることはあまりなく、最後には、罪悪感に耐え切れず自刃した伊右衛門とあの世で結ばれるというハッピー・エンド(?)。
 そりゃ、おたくらはそれでいいんでしょうが、お岩のお腹には赤ちゃんがいたし、伊右衛門とお岩に関わった人々は皆、散々振り回された挙句、大半が不幸になってます。
 何か釈然としないものを感じつつも、まあ、終わり良ければ総て良し…なのか…?

・注1
 トラウマ・マンガを扱った本に、さがみゆき先生へのインタビューがありまして、そこで触れられております。
(本を紛失してしまい、細かいところまで確認が取れず、申し訳ないです。)

・備考
 読み癖ひどし。かなりボロイです。

2016年5月26日 ページ作成・執筆

ヒバリ黒枠・リストに戻る

メインページに戻る