鳥海やすと「怪奇肉づきの鬼面」(200円)



「伊賀者の黒月五忍衆は、徳川幕府から千鳥城の城内から城下まで調べ上げるよう密命を受ける。
 その為には城下町にとけこむ必要があり、その足掛かりとして選ばれたのは、草安という蘭方医であった。
 若い忍者の影月は、くノ一の夕月に、草安の娘、よもぎを襲わせ、助けた際にわざと負傷する。
 傷の治療をする間、影月は草安の屋敷に滞在。
 また、草安からは仕官の話を持ち掛けられ、順調に思われた。
 しかし、よもぎが、重臣からの結婚話を断るために、彼とかりそめでもいいので夫婦になりたいと言い始めたことから、計画が狂いだす。
 一度は断るものの、滝壺に身を投げようとする、よもぎを助けてしまい、結局、彼女とかりそめの夫婦になることを承諾。
 だが、よもぎに密偵の疑いがかかることになり、衆頭の無月斎から、よもぎを切るよう命じられる。
 影月はとてもよもぎが密偵とは思えず、斬ることを躊躇する。
 その時、影月の前に、夕月が現れ、斬る代わりに、「肉づきの鬼面」を付けても良いと話す。
 殺すよりはましと、彼はよもぎの顔にその鬼面を付けるのだが、それが更なる悲劇を呼ぶのであった…」

 非常に悲惨な話で、好きな作品ではありません。
 主人公の影月があまりにヘタレなせいで、善良な登場人物が次々とひどい目にあっていきます。(よもぎも草安もめっちゃ気の毒…。)
 一応は「純愛もの」なのでしょうが、純愛というより「優柔不断」な感じで、全く共感はできないと思います。
 ただ、冒頭、くノ一の夕月の履いている袴がハートマーク柄だったのには、痺れました。

・備考
 ビニールカバーの剥がし痕がある上に再びビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。読み癖が激しく、汚れ、シミ、切れ、小欠損多数。全体的に上部、水濡れ痕あり。p8、コマ外に青ボールペンで字の書き込み。p24、ひどい汚れ。前の遊び紙に「鬼面」と鉛筆で書き込み。後ろの見返しが欠如して、最終ページに貸出票貼り付け。

2020年1月25日 ページ作成・執筆

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