広丘純「闇の中の目」(220円/1966年夏頃)



「秋子は、孤児院から、資産家の藤山家にもらわれてきた少女。
 彼女は窮屈な生活に耐えられず、長屋の子供達と野球をするのが唯一の愉しみであった。
 一方、彼女の父親は、高級アパートを建てる為、長屋の住人を追い出そうと目論む。
 しかし、長屋の端に住む、サングラスの男が、滞納した家賃を全て肩代わりして、うまくいかない。
 ある雨の晩、秋子は、スポーツウェアを隠している廃工場で、その男と出会う。
 彼は秋子について詳しく知っているようであった。
 だが、彼の周囲を二人の刑事がかぎまわり、男は姿を消す。
 秋子の父親は、長屋の住人に立ち退きを迫るが、男は再び現れ、明日、家賃を払うと言うのだが…。
 サングラスの男の正体とは…?」

 タイトルと表紙だけ見れば、期待をしてしまいますが、内容は、人情ものにスリラーの要素を若干、振りかけたものです。スリラーやサスペンスと呼ぶのも苦しいかも…。
 でも、絵はそれなりの画力がありますし、物語もしっかりしておりますので、つまらないことはありません。
 ただ、サングラスの男が長屋の住人を助けていた理由がよくわからないのが惜しい…。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。本体、若干、波打ち。pp79・80、下部にコマにわずかにかかる欠損。前後の見開きに貸本店のスタンプ印。

2019年11月26日 ページ作成・執筆

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