織田のりよし「深夜の魔人」(130円)



「ある夜、少年探偵の星野は公園で奇妙な死体を発見する。
 死体の背中には穴が開いており、血が全て吸い取られていた。
 次の日の夜、星野はまた事件が起きるような気がして、公園を訪れる。
 公園には南刑事とその部下が見張りをしていたが、部下の一人が血を吸い取られて殺される。
 星野が怪しい人影を追うと、それは奇怪な容貌の男で、この男こそが吸血魔人であった。
 星野たちは吸血魔人を捕まえようとするも、四本指の男に邪魔をされ、逃げられてしまう。
 四本指の男は吸血魔人の味方のようだが、かと言って、悪人とも思えない。
 星野は似顔絵描きに扮し、夜の酒場を巡り、遂に四本指の男を発見する。
 四本指の男は片目で、吸血魔人が人を襲ったと聞くと、慌てて現場に向かう。
 星野は男の後をつけ、車の屋根に飛び乗るが、男に気付かれ、車ごと崖から落とされそうになる。
 星野は途中、車からとび出して難を逃れ、山中にある洋館に助けを求める。
 洋館には医者らしき男性がいたが、これは四本指の男の変装で、星野はまたもや命を狙われる。
 更に、地下には吸血魔人が閉じ込められていた。
 四本指の男は吸血魔人に自分の血を飲まして落ち着かせようとするのだが、吸血魔人はそれでは足りないと外に出て行く。
 以来、東京では夜ごと、人が襲われ、恐怖のどん底に陥る。
 警察の非常線をかいくぐって暗躍する吸血魔人の正体は…?
 そして、四本指の男は何故、吸血魔人をかばうのだろうか…?」

 時代を考えると、佳作だと思います。
 吸血魔人は画像で見るとへっぽこですが、サスペンスフルな展開はなかなかのもの。
 また、「ホラーSF」の要素もあり、吸血魔人の正体は非常に凝ってます。(「妖怪人間ベム」を先取り…と言ったら大袈裟だな、やっぱり…。)
 吸血魔人の抜け落ちた手に警官が襲われる描写などもあり、織田のりよし先生はかなりの才能の持ち主だったのではないでしょうか?

・備考
 カバー痛み、激しい。前後の見返しに剥げ多数、また、後の見返しに持ち主らしき名前記入。本体、かなりくたびれて、割れそうなところが多いものの、まあまあいい状態。

2025年3月27日 ページ作成・執筆

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