香取妙子「霧がわらっている」(240円/ひまわりブック465)
・「霧がわらっている 第一部」
「霧のロンドン。
ケティ=モーリス(15歳)は、二年前に両親を亡くし、兄のジムと二人で暮らしていた。
兄は父親の会社を継ぎ、小さい会社ながら社長で、生活に不自由はなく、ケティはスイスへの旅行を楽しみにしていた。
ある日、ケティが公園を通りかかると、彼女を呼ぶ声が聞こえる。
そして、「ケティを殺す」と不気味な笑い声と共に告げるのであった。
彼女はマンションに戻り、兄にそのことを話すが、いたずらだと信じてもらえない。
彼女のもとには、同じ声で殺人予告の電話が何度もかかり、ある時は、道路で何者かに押され、もう少しでバスに轢かれるところであった。
彼女と兄は警察に行くものの、どれも物的証拠がなく、相手にされない。
そんな時、待望のスイスに旅行が明後日に決まるのだが…」
・「霧がわらっている 第二部」
「兄のジムはようやくケティの話を信じ、犯人をおびき寄せる計画を立てる。
それは、彼が車で出かけたふりをして、三分後に裏口から戻ってくるというものであった。
その間、ケティは一人、マンションの部屋で過ごすことになる。
その頃、彼女のマンションの周囲をうろつく、サングラスの男の姿があった。
ふとしたことからケティを知り合ったロジャー(ベトナム帰還兵)はその男の後をつけるのだが…。
ケティの命を狙う者の正体は…?」
・「ステラ」
内容を紹介しようかと思いましたが、以下の事情で、やめました。
この作品は恐らく、谷悠紀子先生(ゆき子)「悪夢」(「すみれ・23」)の換骨奪胎です。
まあ、今も昔も「パクリ」ではない作品はないのではありますが、もう少しアレンジして欲しかったです。
トリックも謎解きも一緒というのはちょっと…。
「霧がわらっている」は今となっては他愛のない内容です。
とは言え、やはり慣れないスリラー漫画を描くと無理がでるのでしょうか、本来なら緊張感溢れるシーンが妙に間延びしたりしており、味わい深かったです。
・備考
カバー貼り付け。冒頭、割れ気味。巻末に貸出票の貼り付け。
2021年10月8日 ページ作成・執筆