小林健一「夜わらう顔」(200円)


「両親を亡くし、孤児院にいた町子は、金持ちの老人に引き取られる。
 老人は、町子の父に戦争中の中国で世話になった恩があり、また、女中のみさ子との二人暮らしでは心細いという理由もあった。
 村にある屋敷の居間には、神の仮面が飾られていた。
 この仮面は、彼が南方の島にいた時に、土人達が神として信仰していたもので、老人は彼らから盗み、日本に持ち帰ったのであった。
 土人達はこの仮面には祟りがあると信じ、信仰しないものは呪い殺されると伝えられる。
 老人は自分が仮面を盗んだことを島民に知られたのではないかと疑い、殺されるのではないかと疑う。
 そんな時、村に白痴の浮浪者が現れ、方々をうろつくようになる。
 老人は彼をひどく恐れ、地下室に神の仮面の祭壇を作って、祀る。
 町子とみさ子はその祭壇を見に地下室に降りると、仮面の笑い声を耳にする。
 これは仮面の呪いなのであろうか…?
 そして、谷底で町子が目にした、半世紀前の悲劇の真相が明らかになる…」

 「仮面の呪い」と「ヒロインが谷底の廃墟で目にした過去」という二つのエピソードが絡み合い、なかなか紹介しづらいストーリーです。
 「仮面の呪い」のエピソードは大して面白くありませんが、「ヒロインが谷底の廃墟で目にした過去」のエピソードはストーリーとも深く関わり、よく練られているように思います。
 今となっては、全く怖くはありませんし、御都合主義なところも多々あるものの、(時代を考慮に入れれば)割と整合の取れた作品ではないでしょうか?
 個人的には、雑誌に掲載されたものを単行本化したのではないかと考えてます。

・備考
 カバー貼り付け。セロハン紙剥がし痕あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2017年9月26日 ページ作成・執筆

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