しきはるみ「ねこ地獄」(1970年頃発行/240円)

 収録作品

・「ねこ地獄」(「週刊少女フレンド」(講談社)1968年暮〜1969年1月掲載)
「三味線艶歌で人気爆発の立花愛子。
 才能・容姿共に恵まれてはいるが、それを鼻にかけて全くの天狗状態。
 取り巻きも、いつも愛子の肩を持つ母親から、しきりにヨイショのマネージャーや運転手といった鼻持ちならない連中ばかり。
 愛子は、家の離れに住み込みで手伝いとして働いているおスミと、双子の娘、美千代と美鈴につらく当たる。
 ある日の夕方、テレビ収録から帰る途中の愛子の車が、美千代をはねてしまう。
 目撃者がいなかったことを確かめ、愛子達はその場から遁走。
 その場では、美千代の血をなめる、美千代の愛猫、マリの姿があった。
 帰宅後、轢き逃げしたことに怯える愛子達の前に、怪我一つしていない美千代が現れる。
 美千代は気を失っただけだったと愛子達は安心するが、実は美千代はマリが化けていたのだった。
 美鈴の飼っていたタロを愛子達によって三味線にされた時、マリの復讐が始まる…」
 東京漫画出版社から貸本として出された「怪談猫三味線」をかなりアレンジした、セルフ・リメイクであります。
 当時は、グループサウンズ真っ盛りだったと思うのですが、「三味線艶歌」ってところが渋いです。
 まあ、エレキギターだと化け猫と絡ませることができないというだけの話でしょうが…。
 雑誌掲載のためか、丁寧に描かれておりまして、グロ描写にも力を入れております。
 ただ、後半から息切れしている感じがあります。週刊雑誌での連載はキツかったのかもしれません。

・「たたり」(「週刊少女フレンド」(講談社)1968年10月〜1968年暮頃、掲載)
「12歳の里子はの後頭部には口があった。
 これは里子の義理の姉、菊子による祟りであった。
 菊子は里子が産まれた頃、継母であった里子の母から虐待を受け、飢え死にをしていたのだった。
 里子の後頭部の口は、里子の母の罪を告発し、責め苛む…」
 一応は、「週刊少女フレンド」に連載された作品ですが、ここに収められているのは、それを16ページぐらいに短縮したものです。
 物語の導入の後、すぐに話が終わってしまうので、拍子抜けすること請け合い。
 雑誌で(注1)第一話だけ確認しましたが、後頭部の口が髪を手のように操って、母親から血を吸っていました。
 完全版を読んでみたいものであります。

・注1
「週刊少女フレンド」第43号(昭和43年10月22日発行)

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。しみ、コマにかからない少欠け多数あり。pp89・90、コマに小さい穴あり。

平成27年9月18・20日 ページ作成・執筆

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