小林健一「森は知っていた」(200円/1963年10月25日完成)



「盲腸で入院していた、しのぶは、退院直前、一人の少女と知り合う。
 井上邦子という名の少女は、長男の運転する車が事故を起こし、両親と兄を失ったショックにより、ノイローゼ気味であった。
 更に、孤児となった邦子は、親戚達に厄介者扱いされ、孤立していた。
 しのぶが退院した後、病院を脱け出した邦子はしのぶの家に向かう途中、轢き逃げに遭い、重傷を負う。
 責任を感じた、しのぶの一家は、邦子の面倒を看ることを決める。
 その時、看護婦から、顔を包帯でぐるぐる巻きにした男が、邦子の入院費として五十万円(1963年当時は大金)を病院に払ったと知らされる。
 邦子は無事に退院し、しのぶの家に引き取られるが、負担をかけているとの心痛から、邦子は突如失踪。
 しのぶは、邦子の行方を求めて、邦子の家族が事故を起こした、千葉の潮見峠を訪れる。
 旅館に泊まった翌朝、しのぶは、邦子の家族の乗った車が転落した崖下の森に入る。
 そこで、しのぶは道に迷い、さまよううちに、開けた場所に出る。
 そこには、キラキラ光る石がたくさん落ちていて、それをたどるうちに、洞窟の中に入り込む。
 洞窟の中でコウモリに襲われ、しのぶが怯えているところへ、不気味な顔の男が現れる。
 男に襲われ、しのぶは気絶してしまうが、何故か森の入り口で発見される。
 また、邦子も青山墓地で両親の墓の前に座っているところを保護される。
 数日後、邦子の兄の後輩を名乗る男性が、邦子を引き取りたいと、しのぶの家を訪ねてくるのだが…」

 絵柄が、初期の「わたなべまさこ」先生に似ているような気がします。(そこまで詳しくないので、推測でしかありません。)
 内容は、怪奇色を散りばめたサスペンス&ミステリーでして、大して怖くはありませんが、程よくまとまっていて、それなりに面白いです。
 全体的に丁寧に描かれており、個人的には、好感が持てます。

・備考
 ビニールカバー貼りつき。カバーに痛みあり。本体表紙の裏に鉛筆での書き込みあり。後ろの遊び紙、欠損。裏表紙の裏に、貸本店の名前の紙貼り付き。

2016年12月8日 ページ作成・執筆

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